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2022.11.18

世界の貧困農村「気候変動、最も大きな脅威」 農業開発基金総裁

 世界各地の農村部の貧困撲滅に取り組む国際農業開発基金(IFAD、本部・ローマ)のアルバロ・ラリオ総裁が17日、東京都内で毎日新聞のインタビューに応じた。ラリオ氏は気候変動の影響で干ばつや洪水が多発し、貧困層を直撃していると話し、「気候変動に適応するための支援を」と訴えた。

 IFADは都市部から遠く離れた地域に住み、農業で生計を立てる人々を支援する。こうした層は世界の人口の45%を占めるが、所得が低く貧困率が高い。近年は中東やアフリカでの紛争やインフレ、新型コロナウイルスの感染拡大などの要因が重なって食料不足に直面する人が増え、中でも気候変動が「最も大きな脅威の一つ」だという。

 ラリオ氏は「アフリカのソマリアでは雨期にもかかわらず雨が降らない状態が5年間も続いている地域がある」と例を挙げ、「農業で生活している人たちは既に影響にさらされ、待ったなしの状態だ」と指摘した。住み慣れた土地を離れて隣国に移住する人もいるが、生活が良くなる保証はないという。

 ラリオ氏は、国際的には二酸化炭素の排出量削減など気候変動の「緩和」に関する議論が中心となっているが、既に各地では多大な影響が表面化しており、「多くの国が『もう待てない』と言っている。小さな島国などは自力で対策を取る資金力がなく、すぐに支援が必要だ」と指摘、農村部の疲弊は「世界の食料供給に影響を与える。関係ない国はない」と強調した。IFADは洪水や干ばつに襲われても耐えられるよう、土壌や水を管理する方法を教えるなどして支援しているという。

 日本は3年ごとにあるIFADの増資会議で2021年、60億円超の拠出を誓約した。ラリオ氏は「日本は食料や栄養に関する知識が豊富で技術もある」と、今後の連携深化に期待を示した。【五十嵐朋子】

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