ソーシャルアクションラボ

2022.11.20

COP27 30年以上の対立乗り越え 「損失と被害」基金設立合意

 エジプト・シャルムエルシェイクで開催されていた国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)は20日、気候変動に伴う被害を受けた途上国支援のための基金を設立することに合意し、閉幕した。地球温暖化の被害支援に特化した国際的な基金の設立は初。

 気象災害など気候変動の悪影響に伴う「損失と被害(ロス&ダメージ)」への補償を巡っては、30年以上にわたって先進国、途上国の対立が続いてきたが、国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)で支援のための基金設立という「歴史的」合意に至った。

 損失と被害を巡る議論は1991年、島国で作る「小島しょ国連合」が海面上昇による被害を国際社会が保険制度でまかなう仕組みを提案したことが始まりだ。その後、途上国は繰り返し被害への支援を求めてきたが、現在の地球温暖化を引き起こした「責任」の議論を回避したい先進国は被害に特化した資金援助の仕組みには反対してきた。

 COP27議長国エジプトは、干ばつなどの被害を受けているアフリカの国々の「代表」として、損失と被害への資金支援の仕組み合意にこだわった。合意に至った背景には、今夏、国土の3分の1が浸水したとされるパキスタンの大洪水が世界中で報道され、気候変動の被害への国際社会の危機感が高まったこともある。

 COP27の決定文書では具体的な資金の拠出元などには言及していない。「先進国」とも限定していないことから、中国など温室効果ガス排出量の多い新興国からの拠出の余地も残している。

 支援先の範囲など基金の詳細については、今後設立する専門の委員会での議論に委ねられる。気象災害など温暖化の悪影響は世界中で顕在化しており、被害を軽減するための「適応策」の限界も指摘される。今後の議論で、本当に支援を必要とする国・地域に必要な資金を迅速に提供できる仕組みを構築することが求められる。【シャルムエルシェイク岡田英】

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