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2022.11.21

防災倉庫どこに置く? 豪雨で被災した愛媛・西予の小学生が考えた

 2018年7月の西日本豪雨で大きな被害のあった愛媛県西予市野村町地区にある市立野村小学校で、大学の准教授を講師に迎え6年生約50人が災害に備え発電機や毛布などを蓄える「防災倉庫」を新設する場所を考える授業があった。子どもたちの案が市による設置場所に反映される可能性もあり、真剣に取り組んだ。

 「どうしてそこに防災倉庫を置くのか。相手が納得できる意見をまとめよう」。この授業の先生を務めた愛媛大学の井上昌善准教授(社会科教育学)は児童に問いかけた。

 西日本豪雨で同地区では肱川が氾濫し5人が死亡。大規模浸水した川沿いでは現在、にぎわい創出などを目指し、東・西岸の計4区画に芝生広場やスポーツ施設などを置く“空間”作りが進む。非常時の活用も念頭にかまどベンチやヘリポートも備える。この空間に防災倉庫も整備する方針だ。

 被災後は毎年、6年生の総合的な学習の時間で防災をテーマにしてきた野村小。校内にある防災倉庫の使い方などを図示したパネルを作製した21年度に続き、22年度は防災倉庫を肱川沿いの空間のどこに設置するのが効果的かを考えてきた。

 現地見学など過去4回の授業を経て、18日には地域の会議に提出する案をまとめる大事な授業があった。井上准教授はまず住民らの利便性や安全性などを重視した配置案を紹介。また、水害だけでなく、南海トラフ巨大地震の検討も促した。一方、児童からは地区ごとの人口や年代構成なども参考に数十年後も利用・管理できる「持続可能性」も考慮すべきだという、大人にはなかった視点が出た。

 さまざまな条件を踏まえた上で児童からは、ヘリポートが近く救援物資をヘリコプターから運びやすい▽近隣に高齢者が多く避難に便利だ▽標高が比較的高く水害を受けにくい▽家族で利用する遊び場があり普段から認識されやすい――などの理由から、4区画のうち北東部に設置した方が良いとの案でまとまった。井上准教授は児童に「設置場所を考えることは多くの人の命と関係している。命を守れるかどうかの判断をここでしている」と強調。あえて直接的な言葉でこの取り組みの重要性を伝えた。

 井上准教授は授業を終えて、「大人も気付いていない興味深い視点もあった。(今回の授業が)公的な問題に対して意見を持って表明できるきっかけになれば」と期待。さらに、西予市での防災学習について「(自分たちの意見が)実際に復興のまちづくりに生かされる点が強み。主権者意識を形成できる学びになっている」と評価した。【山中宏之】

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