ソーシャルアクションラボ

2022.11.23

BOSAIって何? 外国人が避難所で悩むこと 支援団体が小冊子に

 「BOSAI(防災)って何?」。災害時に言葉の壁で「情報弱者」になりがちな外国人を、避難所でいかに支援できるかを考える小冊子を松山市の外国人支援団体が作成した。外国人の本音や実態が分かりやすく記載され、全国に広がる避難所運営マニュアルの作成や見直しに役立ちそうだ。同団体の担当者は「南海トラフ巨大地震などに備えて、地域で共に暮らす外国人と“新たなBOSAIの形づくり”を考えるきっかけにしてほしい」と呼びかける。

 小冊子「避難所における多文化共生を考える」(全19ページ)では、外国人の避難所生活で予想される悩みや不安を「生活」「食」「祈り」「情報」などに分類し、イラストや写真付きで、日本語と英語などで紹介。松山市内に住む韓国、フィリピン、ベトナム、ミャンマー、インドネシア、米国、アルジェリアからの留学生ら約10人が協力した。

 宗教上の理由で「同性であっても他人と入浴できない」▽「お酒や豚を口にできない」▽「(祈るための)静かな場所がほしい」――など、避難所での集団生活の際に知っておいてほしい事柄を列挙。また、日本語が苦手なために避難や生活のための情報を十分集められないことへの対策として、「大切なことは英語と写真で伝えて」「緊急時は重要な場所に目印を付けてほしい」などの要望を記載。さらに、「日本語での意思疎通が難しい外国人が『何を食べられるか』を避難所でどう伝えるべきか」――といった課題も記されている。

 松山市のNPO法人「松山さかのうえ日本語学校」が外国人との防災教育プログラムを企画し、京大防災研究所(京都府宇治市)や松山市が協力。公益財団法人パブリックリソース財団(東京都)の助成金50万円を活用して2022年5~8月、イスラム教徒が食べられる「ハラルフード」の防災食作り▽防災マニュアル作り▽段ボールベッドの組み立て――などワークショップを含む計4回のプログラムが開かれた。

 同NPOのメンバーで愛媛大2年生の田中桃子さん(20)が中心となり企画し、12日に松山市内であった最終報告会で小冊子が披露された。「災害が起きれば異なる文化を背景に持つ外国人との共同生活が突然、スタートする。『誰一人取り残さない』支え合う避難所にするため、日ごろから外国人とBOSAIを考えるきっかけを提供できればうれしい」と話す。

 プログラムを監修した京大防災研究所の中野元太助教(防災教育学)は「外国人がワークショップに参加して避難所運営を共に考える防災教育の取り組みは全国的に珍しい」と評価する。1995年の阪神大震災では、外国人の災害情報へのアクセスの難しさが問題視され、神戸市に多言語コミュニティーラジオが生まれた。「台風や地震を人生で一度も経験したことがない外国人は意外に多い。言葉が不自由な中で災害大国・日本に暮らす不安に想像を巡らせ、外国人に寄り添うBOSAIとは何かに関心を持ってほしい」と訴える。

 関心のある自治体や外国人支援団体などに利用を呼びかける。問い合わせは同NPO(050・5236・1663)。【鶴見泰寿】

関連記事