ソーシャルアクションラボ

2022.11.30

「欲しいのは男女結婚と同じ権利」 パートナー制度、複雑な思い

同性婚を可能とする立法措置に進展の兆しが見えないなか、性的少数者カップルの関係を自治体が独自に証明する「パートナーシップ制度」が全国に広まっている。ただ、制度のある自治体が交付する証明書に法的効力はなく、税金や親権などの面で異性間の法律婚との格差は残る。当事者からは「制度の意義はあるが、根本的な解決にはならない」との声も上がる。

パートナーシップ制度は2015年に東京都渋谷区と世田谷区が初導入した。パートナーであることを宣誓した性的少数者カップルが交付される証明書を示せば、従来は家族と認められずに断られることがあった緊急時の病院での面会や、家族向け賃貸住宅への入居などが可能になることが想定されている。

東京都も今月1日から制度を導入。一部の保険会社や携帯電話会社と連携し、証明書があれば同性パートナーを保険金の受取人に指定できたり、携帯電話の料金契約で「家族割引」の適用を受けたりできるようにした。

NPO法人「虹色ダイバーシティ」(大阪市)などの調査によると、パートナーシップ制度はこれまでに200以上の自治体(人口カバー率は全国の6割超)に広がり、3000組以上が証明書の交付を受けている。ただ、異性婚の法律婚では認められている配偶者控除などの税制や社会保障上の優遇はパートナーシップ制度の証明書では受けられず、相続や子の親権取得も同性パートナーには認められていない。

また、国が同性婚を認めないことへの「代替措置」のように、パートナーシップ制度が広がることに複雑な感情を抱える当事者も少なくない。今回判決があった東京訴訟で原告の1人は21年10月に法廷でこう意見を述べている。「私たちが欲しいのは男女の結婚と同じ権利。別のものを欲しいとは思わない。(同じ権利以外のものを)手にすれば、自分を『二級市民』のように感じるだろう」

東京など5地裁に同種訴訟を起こした原告たちの中には、同性愛者だと周囲に知られることで侮蔑的な言葉を言われたり職場を追われたりする経験をし、「自分は社会から認められない存在だ」と自己否定に追い込まれた人もいる。異性愛者と同様に社会から認められた存在になりたい――。原告たちが訴訟を提起した背景には、こうした切実な思いがある。【遠山和宏】

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