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2022.12.03

プラごみ削減に非食用国産米を 休耕田激増の福島・浜通りで取り組み

 プラスチックごみの削減が世界的に求められる中、非食用の国産米をプラスチック原料にする動きが注目されている。休耕田の活用にもつながり、新潟県や熊本県などで取り組まれてきたが、東京電力福島第1原発事故で休耕田が激増した福島県の浜通り地域でも動きが本格化しており、浪江町で製造工場が稼働した。【尾崎修二】

 原発事故に伴う避難指示が2017年に解かれた浪江町の産業団地で11月30日、バイオマスプラスチック製造会社「バイオマスレジン福島」(本社・同町)の工場の竣工(しゅんこう)式が行われた。閉式後に製造ラインが動き出し、コメを焼いたような香ばしい匂いがほんのり漂った。通常のプラスチック原料になる樹脂とコメを加熱しながら練り上げ、成形後に淡い褐色の粒(ペレット)が次々と出来上がった。

 同社はこの粒を「ライスレジン」として売り、複数の取引先によって箸やスプーン、ごみ袋、玩具など約800種の製品に加工される。

 通常のプラスチックは石油由来の原料だけを使うが、ライスレジンは最大7割をコメが占める。製造過程で石油の消費量が減らせるほか、焼却時の二酸化炭素(CO2)排出量の削減が期待される。農林水産省も「新市場開拓用米」として事業を補助し、市場価格も通常のプラスチックの1・2倍程に抑えられるという。

 同社は、これまで新潟県南魚沼市、熊本県水俣市などで製造を手がけてきたバイオマスレジンホールディングス(東京)が、地元の相馬ガスホールディングス(福島県南相馬市)と手を組み、21年7月に設立された。浪江の新工場は年3000トンの生産を見込む。脱プラの流れからホテルの使い捨て歯ブラシ、食堂のストローなどに活用する動きが出ており、バイオマスレジンホールディングスの担当者は「生産量が増えれば価格も抑えられる。認知度アップに努めたい」と話す。

 環境問題に加え、被災地の農業への貢献も期待される。原発事故の被災地では避難指示解除後も帰還者が少なく、作付けの再開ができない農地も多い。このため、ライスレジンの原料用のコメ栽培が広がることで、農地の保全や活用につながる可能性も膨らむ。

 年3000トンのライスレジン生産には、2000トン近いコメが必要で、9割以上は非食用米や破砕米を外から調達して賄う。それでも今年は浪江町に続き隣の飯舘村の農地も加わり、地元調達分の作付面積は12ヘクタールまで拡大した。

 バイオマスレジン福島の今津健充社長(41)=相馬ガス社長=は「原料用のコメ栽培を、将来的な食用米の作付け再開のきっかけにしてもらってもいい。地元の農家や生産組合の理解を得ながら協働を進めていきたい」と意気込む。

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