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2022.12.05

台風で漂着した流木を次の台風の備えに 軽トラ15台分、まきに

三重県紀宝町で今年9月、台風15号による相野谷(おのだに)川の増水で堤防の斜面に残されていた漂着物を4日、同町鮒田地区の住民が拾い集め、まきとして次の災害に備蓄する取り組みがあった。台風被害を防災に生かす試みで、全国的にも珍しいという。【下村恵美】

流木などの漂着物を片付けたのは、「鮒田の環境を守る会」の35人。国土交通省紀南河川国道事務所の許可を得て、川沿い約1キロにあった漂着物を2時間かけて集めた。軽トラック15台分になった流木のうち、根っこや太い幹は、高台にある避難所へ運んだ。災害時に燃料のまきとして使うために、チェーンソーで切りそろえ、斧(おの)を使って割った。また、枝などの細い部分は、地区で災害用の備蓄野菜を育てる休耕地の肥料にするため、地区にある畑へ運んだ。

鮒田地区は2011年9月の紀伊半島豪雨で浸水の被害に遭い、住民が約1カ月間にわたり避難生活を送った。同じようなメニューの弁当が続いた経験から、自分たちで調理できるように地区で備蓄米を確保し、休耕田で芋類など備蓄できる野菜を育てている。

同地区は月に1度、大雨による浸水や津波を想定した、避難訓練を続けている。また、住民の多くが避難路を、普段の散歩のコースに取り入れている。こうした取り組みは、普段の生活行動と防災を無理なく結びつける「生活防災」の先進地として注目されている。

17年から鮒田地区の防災を支援し、この日も住民と一緒に漂着物を集めた、大阪工業大の田中耕司特任教授は「地域は普段から住民同士の顔が見える防災に取り組んでおり、各地に広まってほしい取り組みだ」と評価した。

鮒田の環境を守る会の東口高士会長(72)は「自分たちが住む場所を自分たちできれいにするだけ。ごみと言われる漂着物が、地域や防災のために使えればいい。こういった取り組みが全国にも広がってほしい」と話していた。

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