ソーシャルアクションラボ

2022.12.08

ぼうさい甲子園グランプリに熊野高校 部活で防災、高齢者見守り

優れた防災教育を顕彰する2022年度の「ぼうさい甲子園」(1・17防災未来賞=毎日新聞社など主催)のグランプリに、和歌山県上富田町の県立熊野高校のKumanoサポーターズリーダーが選ばれた。生徒が犠牲になった11年の紀伊半島豪雨を教訓に、部活動として防災に取り組む。高齢者の見守りなど、災害時に援護が必要な人たちと日ごろからふれ合い「地域に根ざし、地域に貢献する高校生リーダー」をモットーにした活動が高く評価された。

部には約45人が在籍し、班ごとに活動。8年前に始めた高齢者の安否確認をする「ハートフルチェックボランティア」は、町内約300戸の高齢者宅を生徒が訪ね、日常生活や災害時の不安などを聞き取り、交流する。20、21年は新型コロナウイルス禍で実施できなかったが、22年5月に訪問を再開。また、災害時に道を塞ぐなど、避難の妨げになる可能性のある空き家の調査も始め、「気になる空き家」を住民に尋ねる取り組みを追加した。

下畑花音さん(2年)は「顔見知りになって、普段から話しかけてくれる高齢者もいる。非常時にも声をかけやすいのではないか」と手応えを感じている。

AEDシートの開発も

一方、19年からは女性への自動体外式除細動器(AED)使用率が男性より低いことに着目し、使用の際に肌の露出を避けて体を覆える「AEDシート」の開発を進めてきた。縦50センチ、横80センチのナイロン製で、電極パッドを貼る位置などがワッペンで示されている。町内のAED設置場所などに無料配布したところ、全国から約30件の送付依頼などが寄せられた。地域課題の解決について研究している東京大生と協力し、出荷前のAEDに同封してもらえるようメーカーに働きかけた。

今年になって「胸骨圧迫(心臓マッサージ)の段階でも必要ではないか」との考えから小型シート開発にも着手した。校名にちなみ熊のマスコットに収納できる携帯型を考案中で、津志百夏さん(3年)は「現場の状況などがSNS(ネット交流サービス)にすぐにアップされる時代。初めは女性の体の露出を防ぐ目的だったが、性別に関係なくプライバシーを守るために使ってもらえれば」と願っている。

顧問の上村桂教諭(51)は「災害で犠牲者が出る前に、対策をしなくてはいけない。世代間の交流が希薄になる中、つながりを生む橋渡しを担うことができれば」と話している。【大塚愛恵】

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