ソーシャルアクションラボ

2022.12.11

ファシリティードッグに支えられ 闘病の少年が描き続けた700点

重い病気で入院中の病児らに寄り添うファシリティードッグの写真展が、横浜市中区で開かれている。会場では11日、長期入院を経験した子どもらによるチャリティーグッズの販売会が開かれた。売り出されたのは、ある少年が闘病中に描き続けた絵だった。【宇多川はるか】

「勇気をくれる友達みたいな存在」

絵を描いたのは、東京都の小学6年、牧野トミさん(12)=仮名。小学3年の夏、血液の難病「再生不良性貧血」を発症し、都立小児総合医療センター(府中市)に9カ月入院した。そこで出会ったのが、日本で4頭目のファシリティードッグとして活動を始めたばかりの「アイビー」だった。雌のラブラドルレトリバーで現在5歳だ。

ファシリティードッグは医療チームの一員として、「ハンドラー」と呼ばれる看護師ら医療従事者と共に働く。短時間の訪問ではなく、病院に「常勤」し、長期入院の子どもらに寄り添う。

アイビーも、トミさんの闘病を支えた。骨髄穿刺(せんし)の検査では、ベッドまで来て一緒に遊び、麻酔が効くまで添い寝してくれた。

「検査の前は緊張して怖いなと思うけれど、アイビーがいてくれたから、あまり緊張しないで検査を受けられました」。トミさんは、そう話す。アイビーは「勇気をくれる友達みたいな存在」で、「同じ治療でも、一緒だと、嫌だなと思うことが減って、がんばろうという気持ちになれた」と振り返る。このころ、大好きなアイビーの絵を描くようになった。

病気の進行に伴い、今年になり、名古屋大医学部付属病院(名古屋市)で骨髄移植でも難しいハプロ移植を受けることに。この病院にはファシリティードッグはいなかったが、200日に及んだ入院期間中に毎日、アイビーらファシリティードッグの絵を描いた。絵をベッドの周りに張り、「一緒に治療をがんばっている気持ちになれた」。退院後も描き続け、筆ペンなどによる作品は約700点に上るという。

「日本中の子ども病院に」

「こちらがお勧めです!」

横浜・中華街近くにある、犬と飼い主のための大型複合施設「WANCOTT(ワンコット)」。コミュニティースペースで開かれている写真展で11日、グッズ販売コーナーに並んだのは、トミさんが紙に描いた絵のほか、絵がプリントされたトートバッグやキーホルダーなど。会場に来ることができないトミさんに代わり、アイビーと触れ合った経験がある小中学生ら3人が、来場者に購入を呼び掛けた。トミさんもオンラインで参加した。

認定NPO法人「シャイン・オン・キッズ」によると、ファシリティードッグの導入は、国内では現在、静岡と関東地方の4病院4頭にとどまる。「自分の絵でファシリティードッグが有名になって、子どもが入院している日本中の病院に、ファシリティードッグがいるようになってほしい」と話すトミさん。「かわいさや安心できる雰囲気、生ハムみたいな耳や、ふさふさの首の触り心地などが、絵を見た人に伝わって、子どもたちが癒やされるわけが分かってもらえるといいな」

グッズ販売は11日までだが、今月25日までの写真展会期中、トミさんの絵も写真と合わせて展示されている。写真展詳細はワンコットの公式サイト(https://wancott.com/event/3195/)、問い合わせは「シャイン・オン・キッズ」(メールfd_sok@sokids.org)。

関連記事