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2022.12.25

触れて学べる「小さな水族館 びわこベース」 保護の心も育む

 琵琶湖の淡水魚を中心に全国各地の希少生物を展示する、手作りの小さな水族館が大津市内に今夏開館した。運営する同市内の自然写真家、関慎太郎さん(50)の思いが詰まった水族館は週末や祝日のみの開館にもかかわらず、12月までに約3000人が訪れ、親子連れを中心に人気を集めている。

淡水魚やカエルなど約200種類

 琵琶湖岸からほど近い同市木戸に水族館「小さな水族館 びわこベース」はある。真っ白な外観の建物に入ると、中には150個以上の水槽がびっしりと並び、淡水魚やカエルなど約200種類が展示されている。

 関さんは幼い頃から自宅に水槽を100個も並べるほどの魚好き。特に興味のあった淡水魚が豊富な琵琶湖の近くで飼育員として働くことが夢だった。

京都水族館の元副館長が運営

 専門学校卒業後、県南郷水産センター(大津市)や県立琵琶湖博物館(草津市)で両生類専門の飼育員として勤務。京都水族館(京都市)では副館長も務めた。その傍らで水中で生物を撮影する自然写真家としても活動してきた。ところが新型コロナウイルスの影響で水族館の収益が減少。希少生物の保全や展示が十分にできていない現状に「地元の人が生き物に触れて学べる場所を作りたい」と自ら水族館を作ることを思い立った。

 びわこベースでは淡水魚などに加え、専門とする「サンショウウオ」も25種類を展示。関さんによると「日本の水族館では一番種類が多い」という。各地の希少生物も集まり、現在は神戸市内での倉庫建設ですみかを奪われた「セトウチサンショウウオ」を一時保護する。入館者は説明を受けながら、カエルなどの生物と触れ合うこともできる。

 水族館の運営を支えるのは、飼育員を目指す大学生や希少生物の保全に取り組む大学職員だ。約10人の大学生らは関さんが培ってきた繁殖技術や水槽の管理、展示の技術などを学ぶ。大阪府高槻市の大学生、神田一成さん(20)は「(びわこベースは)管理体制が整っていて、カエルが宝石のようにきれいだ。目を引くような特徴を持つ生物もいるので、面白い知識を子供たちに教えたい」と話す。

移動型の「みんなで水族館」も

 びわこベースは、水槽を軽トラックに積んで各地を回る移動型水族館「みんなで水族館」にも力を入れる。子供たちに川にいる身近な生物を知ってもらおうと、一緒に川で魚を採取し、その場で展示する。12月には新たな取り組みとして、JR大津駅前などに水槽を運んで展示する「まちなか水族館」を開催。子供たち向けのワークショップも開いた。「チリメンモンスターを探そう」と題し、約30人の子供たちがちりめんじゃこに交じったイカやエビなどの生物を探した。守山市の小学3年、下江颯人さん(9)は「初めてカムルチーという魚を見ることができて可愛かった」と話した。

 関さんの活動は地元に根付きつつあり、びわこベースには地元住民が「メダカの飼い方を教えてほしい」と聞きに来たり、「ナマズを分けてほしい」と頼みに来たりもする。関さんは「地元の子供や学生らが生き物を通してつながり、生物と触れ合う感動や楽しさを感じる場所になってほしい。そして生物を守る取り組みを全国に広げたい」と語る。

 開館は金土日と祝日の午前10時~午後5時。入場料は大人(18歳以上)300円。【飯塚りりん】

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