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2022.12.29

阿寒湖のマリモ、温暖化で枯死の恐れ 湖の結氷消失で損傷の可能性

 阿寒湖(北海道釧路市)に生息する国の特別天然記念物・マリモについて、地球温暖化によって湖の結氷期間が短くなると、強い光で細胞が傷ついて枯れてしまう可能性があるとの研究結果を東京大や釧路市教育委員会などの研究グループがまとめた。研究グループは「温暖化の影響に警鐘を鳴らす結果だ」としている。

 地球規模の環境変化の影響で近年、阿寒湖の結氷期間は短くなる傾向にある。東京大の河野優(まさる)特任助教(植物生理生態学)らの研究グループは、結氷の消失がマリモの光合成に甚大な影響を与えると考え、今年3月、阿寒湖に厚く張った氷に約3メートル四方の穴を開け、マリモの群落のすぐ真上の水温と光の強さを測定した。

 文化庁の許可を得て、採集したマリモの細胞を傷つけないように引き抜き、水温を2度に保って強い光に6時間以上さらしたところ、活性酸素が生成されて細胞が傷ついた。しかし、その後、弱い光を当てると回復したため、これまで知られていない光に対する修復機能が存在することが分かった。

 一方、研究では温暖化で結氷が消失し、日光が湖底まで差し込むような疑似環境下にマリモを置いたところ、数日後に枯死した。このため、結氷消失後に予想される自然環境下では十分な修復が難しいことが分かったという。

 河野特任助教は「冬期の結氷消失がマリモに重大な損傷を与え、生存に脅威を与えていることが示唆され、湖沼の生物への温暖化の影響に警鐘を鳴らすものだ」とコメントした。【本間浩昭】

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