2023.02.15
フェムテックで女性活躍促進 ウクライナ人設立企業に起業家賞

京都府の「第11回京都女性起業家賞」の最優秀賞に、京都市左京区の「Flora」が選ばれた。生理周期の管理アプリを開発するなど、先端技術で女性の健康課題の解決を目指す「フェムテック」企業で、設立したのはウクライナ出身のクレシェンコ・アンナさん(26)。「日本は女性の健康課題が深刻だ」という意識が、事業の根底にある。【添島香苗】
女性起業家の顕彰や発信のため2012年に始まった賞で、22年度はFloraのほか10事業が受賞した。
Floraは20年12月、京都大に留学中だったクレシェンコさんが設立した。主な事業は約5万人が利用するアプリ「flora app」の開発だ。
情緒不安定や頭痛などが起きる月経前症候群(PMS)など、女性は特有の症状に見舞われることがある。同アプリは日々の体調を記録できるほか、入力されたデータを基にして、一人一人に最適と思われる症状への対処法を示す。
クレシェンコさんは「女性の体調に関するビッグデータを構築することで、生理中の症状から更年期に出やすい症状を予測して対処法を示すなど、生涯にわたって女性の健康をサポートしたい」と目標を語る。
日本で起業した理由を「生理などの話題をタブー視する傾向が強く、社会的に理解が進んでいない」と語るクレシェンコさん。国内企業は男性管理職が多いことなどから「女性社員に必要なサポートが知られていない」とみて、支援を助言する企業向けのサービスも手がける。
同社では男性も活躍している。COO(最高執行責任者)の高田涼太さん(22)は「自分も以前は『男性の方が仕事ができ、女性は家事を担うべき』と差別意識を持っていた」という。しかし大学で男女格差の現状を学んだことなどで考えが変わり、クレシェンコさんの誘いで入社した。
高田さんは国が進める「女性活躍」の在り方にも疑問を抱く。「単に女性管理職の割合を上げるなど、形式的に進めると男女間の摩擦が生まれやすいのではないか」と考えるからだ。「女性の健康課題をケアし、自然に活躍できる環境を整えたい。企業の生産性が上がれば男性にとっても有益だ」とビジョンを語った。
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