2023.02.17
発達障害、明かした後に退職勧奨 「長く勤めたかった」 女性の無念

職場で発達障害への配慮を受けられないまま違法な退職勧奨を受けたとして、広島市内の20代女性が17日、元勤務先の玩具・菓子メーカー(東京)に533万円の損害賠償を求める訴訟を広島地裁に起こした。障害者雇用促進法は、障害に応じて職場環境を整備する「合理的配慮」を会社側に義務付けており、女性は元勤務先の対応について「差別を禁じる同法に違反している」と主張している。
「長く勤めて会社に貢献したいと思い、会社側に配慮を求めた結果、つらい思いをした」。提訴後、広島市内で記者会見した原告の女性は提訴に踏み切った理由をそう語った。
大学時代、ゼミの研究で大手のメーカーと子ども用のおもちゃの開発を経験。商品化もされた。小さい頃からおもちゃやお菓子に興味があり、物を作ることが好きだった。「楽しい時間を提供する側に回りたい」との思いを強めた。ゼミの担当教授からも「十分な能力がある」と言われ、コミュニケーション能力にも自信を持って、一般枠で入社した。
障害者雇用に理解のある会社だと思っていた。「より良い職場環境で働ければ、自分の力を一層引き出すことができる」との思いで会社に障害を打ち明けたが、やりがいを感じていた仕事から離された。「同じような悲しい思いを誰にもしてほしくない」と語った。【根本佳奈】
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