ソーシャルアクションラボ

2023.02.24

性的少数者の若者、孤立させない 札幌で当事者だけの相談の場開催

 自分の性に違和感を感じていても、周囲に打ち明けられない――。特に若者は、不安や鬱憤を晴らすコミュニティーがなく、孤立してしまう場合もある。そうした当事者に向けて、一般社団法人「にじーず」(遠藤まめた代表)が札幌市で居場所作りを進めている。

 にじーずは2016年、性に悩みを抱える若者が集まる居場所作りを始めた。全国各地からの要望もあり、活動は徐々に波及し、19年には札幌にも及んだ。大人とは違い、コミュニティーが少なく、金銭的にも余裕がない就職前の若者に向けた支援に特化し、参加できるのは10代から23歳までの当事者限定としている。

 毎月第1日曜の午後1時半から札幌市中央区の「Youth+センター」(市若者支援総合センター)で開かれる「にじーず札幌」の集会には、毎回15人前後が参加する。初めて訪れる人の中には、誰にもカミングアウトできず「初めて自分以外のLGBT(性的少数者など)に会う」というケースもあるという。

 集会では参加者やLGBT当事者のスタッフと悩みを相談したり、ボードゲームをしたりして過ごす。自分に合う居場所を探してもらおうと、ほかのイベントや支援団体を紹介するハブとしての役割もある。

 にじーず札幌を共同で運営する性的少数者の支援団体「にじいろほっかいどう」理事長の国見亮佑さんは「どんな考えがあっても自分のことが認められる場所。ここがライフラインになっている子もいる。何かもやもやしていることがあったら、話しに来たり、みんなの話を聞きに来て」と呼びかける。

 今月4日には、荒井勝喜元首相秘書官が性的少数者や同性婚に関して「見るのも嫌だ。隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」などと差別発言をして更迭された。

 自身もゲイとして生き、札幌高裁で係争中の同性婚訴訟の原告でもある国見さんは、発言に憤りを隠さない。「ポジティブに受け止める人はいない。おかしなことと戦うのは大人の役割で、それで若者を力づけられると思っている」【高橋由衣】

関連記事