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2020.04.08

台風19号 利根川3調節池 洪水防止に貢献/千葉

※この記事は2020年1月10日付毎日新聞朝刊に掲載されたものです

台風19号 3つの調節池 流入過去最大 東京ドーム72杯分 利根川、洪水防止

 2019年10月の台風19号の際、利根川を越えて田中調節池(我孫子・柏市)など3調節池に入った水量が、東京ドーム約72杯分と過去最大を記録していたことが、国土交通省利根川上流河川事務所の調査でわかった。台風19号時の利根川上流での3日間の雨量は同水系で戦後最大の水害をもたらしたカスリーン台風(1947年)と同規模を記録しており、同事務所は「調節池などの洪水調節施設がうまく機能し、洪水を防ぐことができた」と分析している。【橋本利昭】

 同事務所によると、3調節池は田中調節池(約1200㌶)のほか、野田市の菅生調節池(約600㌶)、茨城県取手・守谷市にまたがる稲戸井調節池(約450㌶)。合わせた容量計約1億700万立方㍍に対し、速報値で計約9000万立方㍍が、水を引き込むため低くしてある越流堤を越えて調節池に流れ込んだ。

 群馬県など4県にまたがる日本最大の遊水池である渡良瀬遊水池を含めると、台風19号での遊水池・調節池の流入量は過去最大の約2億5000万立方㍍となり、東京ドーム約200杯分という。

増水した利根川の水が大量に流入して水没した田中調節池内の畑=柏市で昨年10月13日

 同省では、稲戸井調節池の池内掘削工事をしており、容量を現在の約1900万立方㍍から約2700万立方㍍に増やす。一方、田中調節池も越流堤を上流に移設して約6100万立方㍍から約7200万立方㍍に増やす計画を立てており、台風や豪雨による洪水に備えることにしている。

 調節池は一時的に水をためる治水施設の一つ。川の水かさが増えた際、堤防より一段低い越流堤から自然に調節池に水が入る仕組みになっている。田中調節池は普段は農地や道路などとして利用されている。