2020.07.29
感染症拠点 大規模洪水で25%が浸水 京大防災研調査
感染症病床を有し、新型コロナウイルス対応の拠点となる全国372カ所の「感染症指定医療機関」について、計画規模(100~200年に1度の発生確率)の洪水時に想定される状況を調査したところ、約4分の1で浸水する可能性があると、京都大防災研究所の野原大督(だいすけ)助教(河川工学)らの研究グループが4月27日発表した。想定最大規模(1000年に1度)まで広げると、約3分の1で浸水する。野原助教は「感染症と大規模水害の『複合災害』を意識する必要がある」と指摘している。
調査対象は、特定感染症指定医療機関4カ所▽第1種感染症指定医療機関(特定との重複を除く)53カ所▽第2種感染症指定医療機関(特定・第1種との重複を除く)315カ所――の計372カ所。洪水や土砂災害、津波などの被害想定を示した国土地理院の「重ねるハザードマップ」や、各地の河川管理者や自治体の公開情報を活用した。
その結果、計画規模の洪水では、全体の25.2%に当たる95カ所が浸水すると想定。浸水の深さでみると、2階に到達する可能性がある「2~3㍍以上」は50カ所で、うち11カ所は3階まで水につかる「5㍍以上」だった。想定最大規模の洪水の場合、浸水が想定されるのは125カ所と全体の33.6%に増え、特定機関の国立国際医療研究センター病院(東京)の一部建物も浸水の恐れがある。【福富智】
*この記事は2020年4月28日付、毎日新聞朝刊に掲載された記事です。