ソーシャルアクションラボ

2023.03.02

廃棄資源のリサイクル率アップへ 14社・団体が新組織設立

 廃棄される資源や食品残渣(ざんさ)のリサイクル率向上を推進する団体「一般社団法人アップサイクル」(森原洋・代表理事)の設立記念発表会が2日、東京都内で開かれた。

 発表会には、設立に協力した日清紡グループのニッシントーア・岩尾(東京)、ネスレ日本(神戸市)、凸版印刷(東京)、シーエヌシー(東京)の代表者が登壇し、設立の経緯や狙いを語った。

 団体の設立には登壇した4社を含めて14社・団体が協力。業界の垣根を超えた企業が連携し、従来のリサイクルの枠を超えた新たな取り組みを進める。

 近年、国内では短期的な利益の追求だけではなく、持続可能な社会づくりへの関心が高まっている。一方で①利用可能な資源が再利用されずに廃棄される②資源として回収・活用する方法が十分に整備されていない――などの課題もある。

 森原代表理事(ニッシントーア・岩尾)は「環境に配慮した行動や商品の開発が、まだ世間に根付いていないという問題意識が団体立ち上げのきっかけだ。1社で取り組むのではなく多くの企業や行政と連携することで、市民も巻き込んだ循環型社会の構築に寄与できれば」と語った。

 取り組みの第1弾として、廃棄される紙資源や間伐材を紙糸に再利用するプロジェクト「TSUMUGI」を進める。工場で製造時に規格外のため廃棄される紙資源や、六甲山の間伐から発生するヒノキを活用する。紙糸は軽量で吸湿性が高く、自然の中にいるような着心地を味わえるとされる。

 滝井和篤・事務局長(ネスレ日本)は「活用されなかった紙資源や間伐材が生まれ変わってできた繊維製品を、地球や社会、地域コミュニティーを紡ぐ象徴として手に取ってほしいという思いで『TSUMUGI』と名付けた。紙糸を作ることができる施設はまだ少なく活動は始まったばかりだが、今回のプロジェクトをきっかけに取り組みを広げていきたい」と話した。

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