ソーシャルアクションラボ

2023.03.07

ミナミハンドウイルカの年齢推定、おなかのアレで 近畿大など開発

三重大や近畿大などの研究チームは、ミナミハンドウイルカの腹部にできる斑点模様で年齢を推定する方法を開発した、と発表した。ミナミハンドウイルカの寿命は40~50年と長いが、これまで見た目で年齢を推定する方法はなかった。チームの酒井麻衣・近畿大講師(動物行動学)は「イルカの生態調査や保全につながる」と説明する。 イルカの年齢を知るには歯の断面にできる層を数える手法があるが、生きた状態では難しい。チームは、ミナミハンドウイルカの腹部にある斑点が成長と共に変化することに着目。東京の都心から南に約200キロ離れた御蔵島(東京都)では1994年からミナミハンドウイルカの生態調査が続けられ、海中で泳ぎ回る映像がある。誕生直後から個体識別され、年齢が分かっている41頭の斑点模様を研究材料とした。 斑点は6・5歳ごろに現れ始め、年を重ねると尾びれ側から頭部側に向けて広がっていくという。そこで、体表を胸部や腹部など5カ所に区分し、各部位の斑点の密度を基に予測式を作成。予測式の結果と実際の年齢との誤差は2・5歳程度に収まったという。この予測式を使って御蔵島周辺に生息する年齢不明な89頭の年齢も推定できた。 「生涯の研究可能に」 チームの中核を担った三重大大学院生、八木原風さん(26)は、学部生時代から御蔵島での調査に参加。斑点が成長に従って増えていく様子を見るうち「年齢推定に使えるのではないか」と考えた。「年齢は生態調査の土台。高齢のイルカの年齢を推定できれば、イルカの生涯を研究できるようになる。また、群れの中の年齢分布が分かって、将来の絶滅の可能性を知ることもできる」と話している。 研究成果は1月、米学術誌「マリン・ママル・サイエンス」に掲載された。【柳楽未来】

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