2023.03.10
男女どちらでもない「第三」のマラソン選手枠創設へ 東京・世田谷区
東京都世田谷区は、毎年秋に区などの主催で実施している「世田谷246ハーフマラソン」について、性別が男女どちらでもないと自認する人のための新たな選手枠を創設する検討に入った。10日の区議会で、区の担当者が明らかにした。
性自認が男女のどちらにも当てはまらない人は「ノンバイナリー」や「Xジェンダー」と呼ばれている。米国のボストン・マラソンや英国のロンドン・マラソンなど海外の大会では、男女別のほかにこうした「第三の枠」を作る動きが広がっているが、国内の大規模な大会で導入されるのは初めてとみられる。日本陸上競技連盟は「日本にノンバイナリー枠を設けている大会があるとの情報は得ていない」としている。
10日の区議会で、性的少数者(LGBTQなど)に関する課題に取り組んでいる上川あや区議が、男女のどちらでもない枠の創設を求めたのに対し、区の担当者は「多様性の尊重と、共生社会の実現を目指す区として、対応すべき課題。男女別の参加種目を選択しなくても、大会に参加できる仕組みを関係機関と協議しながら検討する」と述べた。世田谷区は2018年、性的少数者や外国人への差別を禁じる条例を定めている。
上川区議は「Xジェンダーの自助サークルに今回の提案を伝えると、『必ずエントリーしたい』と前向きだった。第三の枠を作っても(従来の)男女の選手枠は壊れない。区の条例の基本理念にもかなう」などと述べた。
区が16年、性的マイノリティーの当事者約1000人を対象にした調査では、14・6%が自認する性別を「どちらともいえない」と回答しているという。
世田谷246ハーフマラソン(昨年の定員1400人)は世田谷区などで構成する実行委員会や区陸上競技協会が主催し、駒沢オリンピック公園陸上競技場をスタート・ゴールに毎年秋、開かれる。【藤沢美由紀】
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