ソーシャルアクションラボ

2023.03.15

同性愛で迫害 決死の来日、つかんだ未来 「難民認定」判決の女性

 帰国すれば同性愛を理由に迫害の恐れがあるとして、アフリカ東部のウガンダから日本に逃れた30代女性が国に難民認定を求めた訴訟の判決で、大阪地裁(森鍵<もりかぎ>一裁判長)は15日、女性を難民と認め、国外への強制退去とした国の処分を取り消した。ウガンダは同性愛者への差別的意識が強いとして、「恣意(しい)的な身体拘束の可能性がある」と判断した。

 「日本に住むことを受け入れてくれてありがとう。明るい未来に期待している」。大阪市内で開かれた記者会見で祝福の花束を渡された女性は、満面の笑みを浮かべながら判決内容を喜んだ。

 目の前が真っ暗になった3年間だった。社会にホモフォビア(同性愛嫌悪)が根強く残るウガンダで迫害され、2020年2月、決死の覚悟で母国を逃れて来日した。ブローカーから取得できたビザは日本のみ。日本の場所も知らなかったが、「来たチャンスに飛びつくしかなかった」と振り返る。

 関西国際空港に到着したが、入国審査官から「入国は許可できない」と告げられ、理由の説明もないまま大阪出入国在留管理局に収容された。

 女性の証言によると、ウガンダで逮捕後に警察官から棒で何度も殴られたが、母親が工面した金で釈放された。病院に入院した後、警察の再出頭要請に応じなかったところ、警察署に指名手配のポスターが張り出されたという。

 女性は「ウガンダ政府は私を見つけて監獄に入れるか、殺そうとしている」と周囲に訴え、難民申請したがすぐに不認定とされた。

 一時的に収容が解かれる仮放免になったが、不安定な生活を強いられる。仮放免中は働くことができず、移動も制限される。「まるで自宅軟禁のようだ」。取材を続けてきた記者にはこう漏らすこともあった。

 そんな暗い表情は判決後に一転し、法廷では代理人弁護士らと抱き合い、目頭を押さえた。同じような境遇にある人たちに「希望を失わないで」と呼び掛けた女性。会見ではささやかな夢も打ち明けた。「外の生活を早く知りたい。将来は高齢者介護の仕事がしたい」【久保玲、山本康介】

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