ソーシャルアクションラボ

2023.03.31

トランスジェンダーを巡り広がるデマ 「当事者の声を聞いて」訴え

 出生時の戸籍の性別と異なる性を自認するトランスジェンダーへの差別や偏見をなくそうと、当事者団体による集会が31日、東京都内で開かれた。前首相秘書官による性的少数者への差別発言が表面化し法案を巡る議論に注目が集まって以降、当事者への中傷やデマが一層激しくなっており、当事者の声を伝えようと企画した。

 企画した団体は「トランスジェンダージャパン」で、人通りが多いJR渋谷駅前で当事者がマイクを持って現状を訴えた。その一人、女性として暮らすトランスジェンダーの時枝穂(みのり)さんは、かつて性別に関する悩みを誰にも話せずに苦しみ、就職のための面接へ行くにも勇気が必要だったという。当時を振り返り、「今は社会が良くなってほしいと思って活動に取り組んでいる。一人でも多くの当事者が希望を持って生きられるようになってほしい」と呼び掛けた。

 トランスジェンダーを巡っては、女性用トイレや女湯に男性が入れるようになるかのようなデマが広がり、当事者を苦しめている。共同代表の浅沼智也さんは「お風呂やトイレの利用ばかり問題にされるが、当事者は他に就職や医療の場で排除されるなどさまざまな困難にも直面している。誤ったイメージでくくるのではなく、リアルな当事者の声を聞いてほしい」と訴えた。もう一人の共同代表の畑野とまとさんも「よく知らずにデマを信じてしまう人もいる。身近に接することで私たちも普通の人間とわかってもらえたら」と話した。【藤沢美由紀】

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