ソーシャルアクションラボ

2023.04.01

香川の全市町、パートナーシップ制度導入完了 「当事者どこにでも」

 香川県直島町は4月1日、性的少数者のカップルを公的に認める「パートナーシップ宣誓制度」を導入した。県内の全17市町で導入されることとなり、全自治体での導入は香川が全国初とみられる。県内の当事者団体は「人々の話題に上り、同性婚の実現につながってほしい」と期待を寄せている。

 公益社団法人のマリッジフォーオールジャパン(東京都)によると、3月23日時点で全国270超の自治体がパートナーシップ宣誓制度を導入している。このうち東京都や青森県、大阪府など12都府県では都府県全域を対象とする同様の制度を導入しているが、全自治体による導入は香川が全国初となる見込み。

 香川県内では2019年、三豊市在住の同性カップルが市役所に婚姻届を提出して不受理となったことを機に、20年に四国で初めてパートナーシップ宣誓制度を市が導入した。その後、県内の他自治体も相次いで制度を設け、このうち3市ではカップルの子どもや親も認定する「ファミリーシップ宣誓制度」も導入した。直島町の担当者はパートナーシップ宣誓制度の導入について「当事者の声が直接寄せられたわけではないが、やはり制度はあった方が良いと考えた」としている。

 香川で全自治体の導入が早かった背景について、県内の当事者でつくる団体「プラウド香川」の藤田博美代表によると、先行自治体で目立った反対の動きがなかったことに加え、自治体数が少ないということもあって一気に導入が進んでいったという。「当事者が行政職員向けの研修で『当事者はどの市町にもいる』と話してきた成果もあったのでは」と語る。

 市町村単位での制度導入の意義は少なくない。東京都では22年11月に都が導入した後、調布市が23年3月に導入した例もある。調布市の担当者は「基礎自治体として当事者に寄り添って生活上の不便を改善し、多様性や人権尊重の姿勢を示す狙いもある」と説明。制度導入を機に、市職員がパートナーシップを宣誓した場合に育休制度などを使えるように条例を改正したという。

 ただし、制度に法的拘束力はない。プラウド香川の藤田代表は「制度の導入は住民の理解促進になるし、当事者の安心にもつながるが、本質的な解決にはならない。国による速やかな結婚の平等の実現をお願いしたい」と話している。【西本紗保美】

関連記事