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2023.04.01

ゴルフ場や保育園も想定 環境省が「自然共生サイト」制度開始 

 企業が持つ緑地や社寺林など、民間の取り組みで自然が守られている土地を「自然共生サイト」として認定する制度の運用が今月始まる。環境省は3日、初回の申請受け付けを開始。「2030年までに陸、海の少なくとも30%を保全する」という国全体の目標達成に一部のサイトの面積も算入する予定で、年末までに100カ所以上を認定することを目指す。

 自然共生サイトは、企業やNPO、大学などが維持管理することで自然が守られ、渡り鳥の越冬地のように動植物の生息に重要な場所になっていたり、希少種や在来種がいたりする土地を想定。所有者や管理者に生息する動植物の種類や維持管理の計画などについてまとめた書類を提出してもらい、専門家らによる審査を経て、環境相が認定の可否を判断する。初回の申請締め切りは5月8日、サイトの決定は8月ごろになる見通し。

 条件を満たせば、ゴルフ場やスキー場、建物の屋上でも認定される。環境省は22年5月からの試行事業で、企業の工場内緑地や大学の演習林、保育園のビオトープなど56カ所を「認定相当」としている。

 22年12月の国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で採択された生態系保全の国際目標は、30年までに陸、海の30%以上を保全する目標が主な柱で、日本政府としても同じ数値目標を盛り込んだ国家戦略を3月末に閣議決定した。国内では既に、国立公園などで陸の20・5%、海の13・3%を保護しているが、国立公園の拡張だけでは目標達成が難しく、民有地も組み入れての達成を目指す。【岡田英】

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