ソーシャルアクションラボ

2023.04.23

旧統一教会、「LGBTQへの攻撃に最も熱心」 荻上チキ氏

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)創始者の文鮮明(ムンソンミョン)氏が、同性愛者について「罪だ。罰を受けなければならない」などと差別的発言を繰り返していた。一連の発言は2002年に韓国語から日本語に訳され、LGBTQなど性的少数者の権利擁護に反対する教団の活動が鮮明になっていった。毎日新聞の取材で明らかになったこの動きをどう見るか。性的少数者を巡る問題に詳しい評論家の荻上チキさんに話を聞いた。【聞き手・田中裕之】 性的少数者に対して攻撃的な宗教団体は複数存在しますが、旧統一教会は最も熱心な団体です。 私が代表理事を務める「社会調査支援機構チキラボ」が宗教2世の当事者1131人に行ったアンケートでは、「男らしさ」や「女らしさ」に関わる教えや活動が「頻繁にあった」と回答した人が旧統一教会は6~7割でした。同じキリスト教系の宗教全体の回答率を2割ほど上回りました。 旧統一教会のほかにも性の多様性に否定的な教義を持つ宗教はありますが、時代に合わせて信者に教えなくなったり、世俗化してマイルドに解釈したりする団体もあります。しかし、旧統一教会は政治家へのロビー活動を展開したり、「世界日報」などの関連メディアを通じて世論形成を図ろうとしたりするなど、むしろ社会を変えようと積極的に行動してきたのが特徴です。 性的少数者の権利擁護に反対する言説は、00年代前半に保守論壇で叫ばれるようになりました。その中で旧統一教会教祖の発言が翻訳されたことは、教団が日本で反対運動を本格化させていくことにうまくマッチしたのだと思います。 旧統一教会を巡っては、献金被害や宗教2世の虐待などが広く知られるようになりましたが、それらに比べると性的少数者に対するバッシングの問題が認知されている手応えはありません。性的少数者を否定するような主張が、保守的な人々の考えに加え、特定の宗教的価値観と結びついていることもあまり知られていないのではないでしょうか。 日本の社会風土は他のG7(主要7カ国)と同様に性的少数者の人権を尊重する方向に変わってきています。速やかに同性婚や差別禁止を実現する法整備が必要です。

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