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2023.05.03

「LGBTQ巡る裁判、深い洞察力必要」 最高裁長官が記者会見

 最高裁の戸倉三郎長官は3日の憲法記念日を前に記者会見し、LGBTQなど性的少数者の権利や多様性を巡る裁判について「広い視野と深い洞察力で納得性の高い判断をする資質、能力が求められている。多様な利害や価値観の対立の本質を柔軟に受け止めることが必要だ」と述べた。

 同性婚を認めていない現行制度は違憲として各地で起こされた国家賠償訴訟では、地裁レベルで「平等原則を保障した憲法14条に違反する」とする判決も出ている。

 最高裁大法廷は現在、生殖機能を無くす手術を性別変更の要件とする性同一性障害特例法の規定の違憲性を審理している。戸倉長官は「(裁判官が)日々の仕事、生活を通じて見識を高めることが重要だ。研修でも支援していきたい」と語った。

 また、重大少年事件の記録が各地の裁判所で廃棄されていた問題では、最高裁は月内にも報告書を公表することを目指して検証作業を進めている。戸倉長官は「批判を大変重く受け止めている。廃棄の背景にある事情を十分分析し、再発防止のための対策を講じていかなくてはいけない」と話した。【遠山和宏】

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