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2023.05.03

台風8号被害から復旧 大分の正定寺、3日から創建500年祭

 2019年の台風8号で書院が崩壊するなど大きな被害を受けた大分県佐伯市の正定寺が3日、復旧と再建を終える。3~7日には創建500年を祝う祭りを開き、約3年かけて再建した書院などを一般にも公開する。

 正定寺は臨済宗妙心寺派の禅寺で、戦国時代の1523年に創建。1687年、3度目の移転で現在の場所に山を切り開いて建てられた。台風8号では、裏山の土砂が大雨で滑落し、書院を押しつぶしたほか、本殿や庫裡(くり)にも土砂がなだれ込んだ。大分地方気象台によると、台風8号が通過した8月6日午前9時ごろ、正定寺のある佐伯市直川付近では、1時間当たり約110ミリの猛烈な雨が降り、気象庁が記録的短時間大雨情報を発表した。

 住職の小原南陽さん(37)は当時、妻と子ども2人を連れて近くの公民館に車で避難したが、途中倒木が道をふさぎ、自ら持ち上げたり、枝を切る必要があったという。その後、公民館付近も水かさが増したため、家族は妻の実家に帰した。一方、小原さんは寺に戻り、建物の安全が確認できるまで車中泊をしながら仕事を続けた。

 小原さんは被害の大きさから寺の規模縮小も検討したが、被災から約2カ月後に檀家(だんか)から「立派なお寺だから元通りにしたい」と提案があり、災害復旧建設委員会が立ち上がった。

 創建500年を祝う祭りでは、施設公開のほか、5日には書院の再建落慶法要を開き、再建にかかわった人を表彰する。小原さんは「自然の力は強く、何もできないと痛感した。それでも檀家さんが力を貸してくれて再建ができた。これからも正定寺があることが安心につながってほしい」と話した。【井土映美】

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