2023.05.08
タンデム自転車で太平洋岸1100キロ完走 視覚障害者ら交流の旅
サドルとペダルが前後に二つ付いている2人乗りの「タンデム自転車」で、障害がある人と共に千葉県銚子市から和歌山市までの太平洋岸を走破するプロジェクトのメンバーが7日、和歌山市加太のゴールに到着した。4月29日のスタートから9日間かけ、延べ100人以上が交代しながら約1100キロを完走した。【橋本陵汰】
視覚に障害がある人でも楽しめるタンデム自転車の魅力の発信やルートが通る地域の人との交流などを目的に、一般社団法人「日本パラサイクリング連盟」などが企画した。
メンバーが挑んだのは、国土交通省指定のナショナルサイクルルートで、千葉、神奈川、静岡、愛知、三重、和歌山6県の太平洋沿岸を走る「太平洋岸自転車道」。2~3台のタンデム自転車で走り、前の席での操作はプロジェクトの主要メンバー4人が、後ろの席は各県の障害がある人が交代で務めた。
最終日の7日は大雨と強風の中、和歌山県御坊市の旅館を早朝に出発。午後4時過ぎごろ、自転車道終点モニュメントまで来ると、メンバーたちは出迎えの尾花正啓・和歌山市長らに手を振って応えた。ゴール後は完走を祝う催しがあり、尾花市長は「各地で多くの人たちとつながり、魅力が伝わったと思う」とたたえた。兵庫県出身で和歌山県内を走った視覚障害者の広岡愛子さん(43)は「いろんな人のお陰で、すてきな和歌山を感じられた。次は天気のいい日に観光に訪れたい」と話した。
9日間の道中では、交流会やタンデム自転車の体験乗車会などが開かれ、SNS(ネット交流サービス)で走行中の様子や位置情報も公開した。プロジェクトの代表、小山結美さん(37)は「無事故で完走できて良かった。障害者と自転車に乗る活動を『危ない』と言われたこともあったが、今後は自信を持って取り組める」と話していた。
関連記事