ソーシャルアクションラボ

2023.05.16

学校に「生ごみ」を持って行くと、堆肥に|転勤族が、小金井市で子育て

はじめまして。数年前、東京都小金井市に引っ越してきた、砂子啓子と申します。息子2人を育てています。

夫の転勤があり、これまで複数の土地に住んできましたが、生活する中で湧く素朴な疑問や、「へぇ」と感心する事が各地域であります

そのひとつが「ごみ」のことです。

5年前に宮城県仙台市から東京都西東京市へ転居したのですが、そこではじめてごみの戸別回収を経験しました。戸別回収は、自分たちの出すごみが特定されます。そのため、ごみを出す量を減らそうと努力するし、分別への意識も高まるので、とても良い取り組みだと思っています。小金井市も戸別回収が行われています。こんな風に、家の前にごみを取りに来てくれます。(集合住宅の場合は、ごみ集積所へ)

小中学校で行う「生ゴミリサイクル」

さらに、小金井市では毎週土曜に「生ごみリサイクル」を行っています。収集場所は市内の小中学校で、学校に設置している生ごみ処理機を利用した取り組みです。平日は給食で出る生ごみを乾燥させています

学校に生ごみを持って行けることに気軽さと安心感があり、転居早々利用させてもらっています。各学校での運営は「生ごみ投入リサイクル事業」として市民団体が実施しており、ボランティアで行われています。(随時募集中!)

なるべく無駄にならないように意識しても、毎日の食事を作る中で野菜くずやくだものの皮などが出ます。庭や畑があれば埋めて堆肥にしたりもできるのですが今は自宅で用途がない状況なので燃やすごみに入れて出すことになり、これを燃やすエネルギーがもったいない

一週間分の生ごみを出すために、取っておきます

我が家は新聞紙を袋にして集めています。他の人の様子をみると、ビニール袋に入れたりバケツやホーロー、ステンレスの容器に入れたりして持参されていました。

重さを測ります。まずノートに名前を書いてごみの重さを計測し記入します。堆肥にできるのは以下の食材。小金井市ホームページから引用します。

台所から出た野菜くず はもちろん、食べ残しや茶がら、コーヒーかす、だしパック、ティーバッグの中身カビの生えたみかんや古米、小麦粉も投入可能です。カニがらや20センチ以内の魚の骨・頭、鶏や豚の骨もOK。

写真撮影時の生ごみは約1キロでしたが、夏場にスイカやメロンの皮などがあると、2、3キロになったりもします。

生ゴミは半分以下の量→肥料を市民や農家へ無料配布しています。

学校に設置されている生ごみ処理機で生ごみは半分以下の量になります。それを堆肥工場に持って行くと、食品リサイクル堆肥(下)になります。できた堆肥は、資源循環の一環として市民や農家へ無料配布を行っています!

家庭で毎週1キロ~3キロの生ゴミを出すと、年間で50キロ以上の削減になり、それが堆肥になることがとても嬉しい。小金井市以外にも、生ごみたい肥化事業を行っている所があります。例えば国分寺市では登録制で4か所での収集をしているそうです。お住まいの地域でこのようなプロジェクトがありましたらぜひご利用ください!

マイバッグ持参の市職員さんに、質問してみました。

どうしてこのような取り組みをしているのか、小金井市役所の職員さんにお話を伺うことができました。対応してくださったのは、

ごみ対策課のみなさんです。(写真右は、取材した砂子です)。マイボトルとマイバッグ持参で対応してくださいました!

小金井市では二枚橋焼却場の老朽化により2007年から13年間、近隣の多摩地域各団体による可燃ごみ処理支援を受けていた経緯があります。長年可燃ごみ処理の支援をしてくださっていた近隣市への思いは格別で、感謝の気持ちを取材の中で何度も聞きました。

 小金井市の可燃ごみは、二枚橋焼却場が老朽化により全炉の運転を停止した平成19年4月以降、多摩地域の各団体にその処理をお願いしてまいりました。
そして、このたび、日野市、国分寺市および小金井市が可燃ごみの共同処理をするために設立した浅川清流環境組合の可燃ごみ処理施設が、令和2年4月1日から本格稼働をしたことから、多摩地域各団体による可燃ごみ処理支援が終了することとなりました。
これまで13年間に及ぶ長きにわたり、小金井市内から発生する可燃ごみの処理にご理解、ご協力をいただき、ご支援をいただきました全ての多摩地域各団体の施設周辺にお住まいの皆様および関係者の皆様に心から感謝を申し上げます。
小金井市は、今後も感謝の気持ちを忘れず、発生抑制を最優先とした3Rの推進と安全・安心・安定的な適正処理の推進に向けて、全力で取り組んでまいります。市民の皆さんには、引き続き、さらなるごみの減量・資源化の推進に取り組んでいただきますよう、ご理解・ご協力をお願いいたします。 =市HP「これまでの長きにわたる可燃ごみ処理のご支援に感謝いたします」より引用

このような経緯から、市内のごみを減らす取り組みが検証され、多数の取り組みを実施してきたのだそうです。2020年に日野市、国分寺市、小金井市の共同処理場「浅川清流環境組合可燃ごみ処理施設」(上=小金井市提供)が完成し、稼働していますが、引き続きごみの減量は必須課題です。

循環型都市へ 「使わないものは買わない」

子ども達にもわかりやすく伝わるようにオリジナルキャラクター「くるくるカメくん」が活躍する「くるカメ大作戦!」。市HPにある「子ども版ごみ処理基本計画」という資料は、大人が読んでも分かりやすいです。また、出張講座も行っています。

ごみ対策課の職員さんは、「リサイクルよりも、まず、『使わないものは買わない、作り過ぎない、残さない』というリデュース(Reduce)の観点から、ごみをもとから減へらすことを推奨していきたい」と話していました。

また、製造者も販売者も、作って販売したものはしっかりと回収してリユースやリサイクルするところまで考えて事業を行う「拡大生産者責任」の観点も重要です。自治体がごみを回収して焼却施設や埋立処分場を整備しても、作られるものを制限しなければごみは増える一方です。

ペットボトルやプラスチックごみも減らしていけるよう、使い捨てをしない長持ちする製品やリサイクルしやすい製品、ごみになりにくい製造販売方法を増やしていく必要もあります。市民ひとりひとりが、「食品ロス」を減らす努力も不可欠です。

市には、「リサイクル推進協力店認定制度」があります。「食品ロス削減推進協力店・事業所の認定」も取り入れています。

地域の取り組みをシェアしたい!

まだまだできるごみ対策。ごみ減量に終わりはありません。今回の取材で自分たちの出すごみと、買うものについて関心が増しました。

皆さんの地域で取り組んでいるプロジェクトなども、シェアして広げていけるとよいですね。全国でごみやロスを減らして無駄なエネルギー消費を減らしていきましょう!(取材・執筆 砂子啓子|編集 山内真弓 2021年取材、23年再編集)

【取材した人】砂子啓子。宮城県仙台市で始まった子育て中心の暮らしを、転居した東京で再構築しています。東日本大震災当時、息子たちは2歳と4歳でした。育児、家事、防災、仕事、地域活動。興味関心事をミックスし、複合的視野を持って生活中です。佐賀県出身。2011年3月、被災地と支援者を結ぶ任意団体「i-くさのねプロジェクト」を立ち上げました。2018年、防災士の資格を取得。特技(趣味?)は、子どものころに始めた剣道で、地域の子どもたちにも教えています。