ソーシャルアクションラボ

2023.05.31

同性パートナーにも災害時の「死亡補償一時金」 世田谷区、7月から

 東京都世田谷区は31日、災害発生時などに水防活動や応急措置にあたり死亡した住民の遺族に支給される「死亡補償一時金」を遺族の同性パートナーも対象にする新制度を7月から開始すると発表した。現行制度では同性カップルは支給の対象外で、差別解消を図るのが狙い。区によると、全国的にも珍しい制度だという。

 新制度は7月1日から施行。対象は、いずれも区の要請を受け、洪水などの水害発生時に、河川の増水対策で土のうを積むなどの水防活動に従事した住民▽災害発生時に現場の応急措置にあたった住民。活動中に災害に巻き込まれて死亡した場合、一時金として収入に応じて、遺族の同性パートナーに890万~1420万円の一時金を支給する。

 水防法や災害対策基本法を根拠にした現行制度は、事実婚を含めた配偶者、子などに対象が限られ、同性パートナーは対象外だ。区議会では以前から、「同性パートナーの除外は不合理で差別的」との意見があり、同性カップルも男女の夫婦と同じ扱いを受けられるようにと、支給の対象にすることにした。新制度の支給額は現行制度と同額とした。

 区は、2015年に同性カップルを公的に認める「パートナーシップ制度」を全国に先駆けて導入。18年には、多様性を認め合い、人権を尊重することを目指す趣旨の条例を施行するなど、同性カップルの差別解消に積極的に取り組んできた。

 会見で保坂展人区長は「当事者は多くはないかもしれないが、(同性パートナーが一時金を受け取る)制度が無いのはおかしい。今後も(同性カップルについて)対応を図られていない制度があれば順次対応していきたい」と話した。【加藤佑輔】

関連記事