ソーシャルアクションラボ

2023.06.02

和歌山で河川氾濫、高知では列車脱線 記録的大雨、交通網乱れる

 台風2号と梅雨前線の影響で、近畿や四国地方は2日、記録的な大雨になった。和歌山市内では河川が氾濫し、和歌山県北部の複数の自治体が警戒レベルで最も深刻な「緊急安全確保」を発令して命を守る行動を求めた。交通網も各地で乱れ、高知県では列車の脱線事故が起きた。

 この日は太平洋側が大雨に見舞われ、西日本では高知、和歌山、奈良の3県で局地的な雨をもたらす「線状降水帯」が相次いで発生。各地で過去の記録を更新する雨量が観測され、住宅などの浸水被害も出た。

 和歌山県湯浅町では昼過ぎまでの1時間に83・5ミリの猛烈な雨が降り、観測史上最高の降水量になった。県によると、周辺の和歌山市や海南市を流れる2級河川・亀の川が下流域で氾濫した。

 県内ではほかにも複数の河川が氾濫危険水位を超えたとして、海南市や紀美野町、広川町、九度山町の4市町は、少なくとも2万9800世帯6万4700人を対象に緊急安全確保を出した。紀美野町や紀の川市でいずれも高齢の女性と男性がそれぞれ川で流されたとの情報があるほか、新宮市では避難所に向かっていた女性(85)が転倒し、骨折した疑いがあるという。

 高知県土佐清水市でも1時間に93ミリの猛烈な雨が降り、6月の観測史上最高の雨量になった。付近の黒潮町では2日午前、土佐くろしお鉄道の列車(1両編成)が線路上に流入した土砂に乗り上げて脱線した。乗客はおらず、運転士ら2人にもけがはなかった。

 大雨の影響で、近畿を中心に鉄道のダイヤが大きく乱れた。JR西日本によると、大阪・京都と北陸を結ぶ「サンダーバード」や大阪と和歌山方面をつなぐ「くろしお」など計130本超の特急を含む在来線の一部が、2日午前から順次運休になった。

 南海電鉄もこの日夕、大阪・難波と関西国際空港を結ぶ特急「ラピート」の運転を取りやめた。JR線も含めて関空から鉄道で出られない状況が続いており、空港内のバス乗り場には利用客が長い列を作った。

 一方、JR西は、3日も和歌山エリアを中心に在来線の一部で始発から計画運休を実施すると発表した。設備の安全確認などに伴う措置だとしている。【小坂春乃、井手千夏、大塚愛恵】

関連記事