2023.06.09
LGBT法案 衆院内閣委、修正案を賛成多数で可決
LGBTQなど性的少数者への理解増進を目的とする議員立法「LGBT理解増進法案」が9日、衆院内閣委員会で審議入りし、与党が提案していた条文案に日本維新の会、国民民主両党の主張を取り入れた修正案が自民、公明、維新、国民民主の4党などの賛成多数で即日可決された。修正案は与党案が「性同一性」、立憲民主、共産、社民の3党案が「性自認」としていた表現を、英訳した「ジェンダーアイデンティティ」に置き換えるなどしたもの。立憲、共産、れいわ新選組の各党は修正案に反対したが、13日の衆院本会議で可決、参院に送付される見通しで、21日の今国会会期末までに成立する公算が大きくなった。
修正案には、維新、国民民主案に入っていた「全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意する」との規定も盛り込み、「政府は、その運用に必要な指針を策定する」と付記した。法制化で女性の権利が侵害されかねないと懸念する自民保守派などに配慮した。
理解増進法案は2021年、超党派議員連盟によって条文案がまとめられたが、自民党内の異論を受け国会提出は見送られた。今年2月、首相秘書官(当時)の性的少数者差別発言を機に岸田文雄首相(自民総裁)が法案提出の意向を表明。自民、公明両党が、超党派議連案の「性自認」との表現を「性同一性」に、「差別は許されない」を「不当な差別はあってはならない」に置き換えるなどした与党案を共同提出し、立憲、共産、社民は超党派議連案を提出。維新と国民民主は「ジェンダーアイデンティティ」との表現を使った第三の案を提案していた。
8日に自民の萩生田光一政調会長が維新の馬場伸幸代表と会談して与党案の修正について協議。実務者による調整を経て、9日の内閣委前に、自民、公明、維新、国民民主の4党が与党案を修正することで合意していた。【畠山嵩、中村紬葵】
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