ソーシャルアクションラボ

2023.06.18

LGBT、つながりや情報求めて 大阪のNPOセンター開設1年

 大阪市北区の川沿いに面したビルの一室にLGBTQなど性的少数者の当事者や支援者らが集う場所がある。認定NPO法人「虹色ダイバーシティ」が運営する「プライドセンター大阪」で、2022年4月に開設された。当事者だけでなく、誰もがふらっと立ち寄れる「居場所」を訪れてみた。【安元久美子】

 6月上旬のある日。ビル7階のフロア(約90平方メートル)では、窓際の席で本を読んだり、地域にあるLGBTQの団体についてスタッフに質問したりと、6人ほどが思い思いに過ごしていた。入り口には多様性を意味する虹色のじゅうたんが敷かれ、LGBTQなどの専門書や漫画、絵本など国内外の書籍が多数並んでいる。

 開設のきっかけは、19年に虹色ダイバーシティの村木真紀代表がオーストリアの首都ウィーンを視察したことだった。ウィーンには性的少数者に関する情報発信などをする常設拠点が4カ所あったが、大阪市には無かった。「当事者や支援者らが安心して集まれる場所が必要だ」との思いから、ビルの一室を借りて22年4月に開設すると、瞬く間に口コミやネット交流サービス(SNS)で広まった。

 開館は月・木・金・土曜の午後3~8時。利用料は無料で予約は必要ない。開設から約1年で、仕事や学校帰りに子どもから70代まで延べ1300人以上が利用した。当事者や関心のある人がつながりを求めて訪れたり、LGBTQの子どもを持つ親が情報収集のために足を運んだりしているという。

 日が暮れると、スタッフが窓に虹色の映像をプロジェクターで投影する。マネジャーの長野友彦さんは「安心できる場所がここにあるんだと目で見て分かるようにしています」と説明する。通りかかった人がセンターの存在に気づいて立ち寄ることも期待しているという。

 虹色ダイバーシティ理事で、同性同士の結婚を認めない現行制度は憲法違反だとして国を訴えている訴訟の原告でもある坂田麻智さん(44)は「当事者は周囲に本当のことを話せないことも多く、無意識に人を避けて孤独を募らせてしまう」と語る。「どんな悩みでも共感してくれる人がいると思うと心強く、安心できる。センターはありのままの自分でいられる場所なので気軽に訪れてほしい」と呼びかけた。

 希望者はカウンセラーによる個別の相談を受けることができる。問い合わせは同センター(06・7507・2777)。

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