ソーシャルアクションラボ

2023.06.18

「注文に時間がかかるカフェ」 吃音の若者、1日限定カフェで接客

 接客業を目指す吃音(きつおん)の若者の夢をかなえるため、1日限定の「注文に時間がかかるカフェ」が17日、浜松市浜北区で開店した。注カフェの基本的な考え方は「吃音の若者に勇気を」「吃音を知らない人には交流を通して理解を」。吃音の高校生や大学生の3人が接客に挑戦した。【山田英之】

 吃音は100人に1人の割合であるとされる言語障害の一つで、話し始めの言葉に詰まったり、滑らかに言葉が出てこなくなったりする。注カフェでは、来店客に「遮ったり、推測して代わりに言ったりせず、言い終わるまで待って」「話し方をまねしたり、からかったりしないで」と書いたカードを示して理解を求める。

 発起人の奥村安莉沙さん(31)=東京都=も吃音当事者。10歳のころカフェ店員に憧れたが、吃音を理由にあきらめた。注カフェのきっかけは、20代でオーストラリアに留学した時。病気や障害のある人が社会体験をするカフェに参加し、自分よりもうまく話せない人が身ぶり手ぶりで接客する姿を目の当たりにした。「すらすらと話す接客が必ずしも良い接客じゃない」と感じた。

 吃音への理解不足から差別やいじめを受けて自己肯定感を失い、やりたいことを断念する人も多い。奥村さんはそんな吃音の若者を支援しようと、2021年8月から各地で注カフェを主催。浜松市は17カ所目で、静岡県内初開催となった。

 同市の高校3年、林桂子さん(18)は将来、接客の仕事をしたいと考えていたが「うまく言葉が伝わらなかったり、時間がかかったりして自信が持てなかった」という。「カフェで接客にやりがいや楽しさを感じて、自分に自信を持てるようになりたい」と参加を決めた。オリジナルメニュー、みかんのゼリーポンチを考案した。

 愛知県刈谷市の大学1年、海沼佐和さん(18)は国語の音読が苦手で、同級生にからかわれた経験がある。それでも勇気を出して注カフェに参加した。エプロンに貼ったシールには、吃音当事者としての「思い」を書いた。<話すことが大好きです。たくさん話しかけてくれるとうれしいです>

 名古屋市から参加した大学4年、曽我くるみさん(21)は同じ悩みを抱える人に「一人で抱え込まないで」と呼びかける。

 注カフェの会場になった「WAIKAのお台所」は普段、デイサービス利用者の食事作りや弁当の販売をしている。代表の河合悠起子さん(44)は、奥村さんに共感して注カフェ開催を申し出た。河合さんは「若い人たちの挑戦やパワーを肯定して、夢に少しでも近づけるように応援したい。だから、あきらめないで」とエールを送っていた。

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