ソーシャルアクションラボ

2023.06.20

自分らしく生きられる街を目指して 広島で初のレインボーパレード

 広島市中区で開催された県内最大規模のイベント「ひろしまフラワーフェスティバル」(FF)は10、11日の2日間で約120万人が来場した。恒例の平和大通りでのパレードが4年ぶりに復活。90団体5660人が参加し、LGBTQなどの性的少数者や支援者らが当事者への理解を求めて行進する「レインボーパレード」も県内で初めて実施された。

 「県セクシュアルマイノリティ協会」(東区)が、FFはカミングアウトしていない当事者も参加しやすく、大勢の観客に性の多様性をアピールできる絶好の機会と捉えて参加を呼びかけた。初日の10日、約60人が虹色のチョウが描かれたそろいのTシャツを着用し、花飾りを付けて練り歩いた。虹色は多様性を表し、チョウは小さな羽ばたきがやがて大きなうねりを起こす「バタフライ効果」にちなんでいる。沿道には多くの家族連れらが詰めかけ、手を振ったり、音楽に合わせて手拍子したりする人の姿も見られた。

 パレードに参加した中区のウェブデザイナー、たつきさん(29)は、大学時代に当事者サークルに所属していたが、卒業後は活動から遠ざかっていたという。勤務先が性的少数者が働きやすい環境整備に取り組んでいることなどもあり、再び関心を持つように。「自分たちに共感し、同じ格好をして歩いてくれる人がこれほどいることがわかった。大きな一歩を踏み出せた」と話した。

 フランス出身で広島修道大大学院生のウィリアム・ベドリヌさん(25)=安佐南区=は「沿道の人と目が合うと温かく迎えてくれているようで、楽しかった。セクシュアリティーに関係なく仲良くしてほしい」と訴えた。

 この日、同協会が平和大通り沿いに設置したブースには、協賛する不動産会社「良和ハウス」(西区)と大手化粧品メーカー「資生堂」(東京都)が出展した。良和ハウスは2020年7月から全店舗で性的少数者の住まい探しを支援している。この日も無料の住宅相談会を開催し、新入社員らがレインボーパレードに参加した。資生堂は、性差を超えたパーソナルカラー診断やメーク講習などを実施した。パレード参加後にブースを訪れた横浜市の会社員、造田哲雄さん(49)は「社内で性的少数者に対する理解を深めようとしていることがわかり、そうした企業には好感が持てる」と話した。

 同協会代表理事の野元恵水さん(49)=東区=は県内初のレインボーパレードについて「今後も単独で開催するなど続けたい」と手応えを感じている様子。3年前にも計画していたが、新型コロナの影響で中止になり、ようやく実現できたという。「誰もがありのままに自分らしく生きられ、違いを認め合える街になっていけたらいい」と期待していた。【根本佳奈】

関連記事