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2023.06.29

豪雨被災の肥薩線 熊本県が観光列車導入を提案 復旧検討会議

 2020年7月の九州豪雨で被災し、全線の約7割で不通が続くJR肥薩線の復旧について、国と熊本県、JR九州で話し合う検討会議が28日、熊本市内であった。県が鉄道復旧による効果や地域の将来像を示し、利活用策として引退するSL人吉に代わる観光列車の導入などを提案した。

 会議は非公開で、終了後に県や国土交通省の担当者が説明した。22年末の前回会合でJR九州から示された経済効果など6項目の検討課題について、県は肥薩線の機能として▽住民生活▽観光資源▽県内周遊▽広域集客――の4本柱を中間報告として挙げた。

 県は24年3月で引退するSL人吉に代わる観光列車の導入や、JR鹿児島線やくま川鉄道への直通運転などを「目玉施策」として提示。さらに肥薩線が存続すれば沿線の人口減少が2万人抑えられ、40年に推計人口が18・5万人となる試算も示された。

 一方、利活用策の具体的な費用や実施時期は盛り込まれず、終了後に取材に応じたJR九州の松下琢磨・総合企画本部長は「今後、運営費なども含めた議論が必要だ」と述べた。今後、経済効果などを含めて再構築して最終報告をまとめる。【山口桂子】

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