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2023.07.01

大雨から1カ月、日常戻らず 住民「いつになったら…」 茨城・取手

 6月2~3日の記録的大雨で324世帯が半壊(床上浸水)し、240世帯が床下浸水した茨城県取手市双葉地区。被災から1カ月となる今も生活再建は道半ばで、以前の日常は戻っていない。

 最も浸水被害がひどかった3丁目を歩くと、多くの家が窓やドアを開けっぱなしにして室内を乾かしていた。1階は生活できる状況ではなく、2階で過ごしている人が多そうだ。

 夫と娘と暮らす主婦(75)もその一人だ。「片付けは終わったけれど、1階はまだ臭う。サーキュレーターを回しているが、乾かずいつ修理ができるかも分からない」と言う。

 足が悪く、両手を床につけてはうように階段を上る。夜中にトイレに何度も起きるがトイレは1階にしかなく苦労している。「1カ月たって疲れも出て体がガタガタ。いつになったら普通に住めるようになるのやら」と嘆く。

 床も壁も家具、家電もほとんど駄目になり、最低限必要な洗濯機、冷蔵庫、電子レンジは購入した。今は電子レンジの入っていた段ボールの上にチラシを載せ机代わりにして食事をしている。

 取手市は災害救助法が適用されたため、床上浸水した世帯では壁や床、水回りなど日常生活に必要な最小限度の部分を修理する場合に最大70万6000円の補助が受けられる。しかし、女性が業者に見積もりを依頼したところ、倍以上かかることがわかった。「修理するにも家具を買うにも何かとお金がかかる。なるべくお金をかけずに何とか住めるようにしたい」と話した。

 1~6歳の112人が在籍する同地区の認定こども園「つつみ幼稚園」では半分以上の子供が戻れていない。6月8日からは地区外の保育所や幼稚園の遊戯室を使用して共働き世帯の子供53人の分散保育を実施しているが、残り59人は1カ月間一度も登園できていないという。

 千葉和子理事長(81)は「早く来たくて仕方がないという子供が多い。先生や友達に会えば子供たちの気も紛れる。早く受け入れたい」と気負う。ただ、水をかぶった机や椅子、ピアノ、オルガンなどは破棄し、1階の壁や床ははがされたまま。6月28日には市社会福祉協議会から約40台のサーキュレーターが支給され室内を乾かしているが、1階は保育をできる状況からほど遠い。せめて7月3日から2階を使って3歳以上の保育を再開する予定で準備を進めている。千葉さんは「夏休みの間に大がかりな工事を終わらせたい。完成したところから少しずつ使っていけたら」と話した。【信田真由美】

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