2023.07.03
復興するまち、少しずつ心癒え 西日本豪雨から5年 広島で追悼式
2018年の西日本豪雨から6日で5年となるのを前に、広島県内の被災地で2日、追悼式が開かれた。参列者らはあの日を振り返り、犠牲者に思いをはせた。【安徳祐、武市智菜実、岩本一希】
坂町では災害関連死を含め20人が亡くなり、1人は行方不明のままとなっている。この日は同町小屋浦4の坂町自然災害伝承公園で追悼式が開かれた。遺族や関係者ら約60人が参加し、園内に鎮座する水害碑の前で黙とうし、献花した。
母を亡くした坂町の長松秀夫さん(60)は遺族代表の言葉で「5年という長い月日がたち、被災した施設や建物がよみがえることで、私たち遺族の中にあるさまざまな感情が、徐々にではあるが和らいでいるような気がする」と述べた。
昨年4月には園内に豪雨の教訓を伝える「坂町災害伝承ホール」が建設された。吉田隆行町長は「ホールを活用し、防災や啓発活動、避難情報の伝達強化を推進していきたい」とあいさつした。
式後、同居していた母キク子さん(当時85歳)と叔母の岡田須磨子さん(同82歳)を亡くした水尻忠道さん(61)は「5年がたち、母を思い出して涙することも少なくなった。自分の中で区切りをつけるために足を運んだ」と語った。
土砂災害で1人が死亡した東区でもこの日、総合福祉センター(東区東蟹屋町)で追悼式があり、遺族や松井一実広島市長ら約40人が参列した。
西本ミサ子さん(79)は自宅に土砂が流れ込み、屋内にいた夫の英雄さん(当時74歳)を亡くした。「(5年は)あっという間だった」と振り返る西本さんは、元の自宅があった場所をよく見に行っているという。英雄さんが「いつもそばにいる」と感じているといい、「残っている花や木の形を整えながら一緒に過ごした時間を思い出して、元気に過ごしている」と話した。
松井市長は式辞で「発生以来、犠牲者を出さないという強い信念を胸にダムや河川、道路などの基盤施設の普及・復興を着実に進め、復興に全力で取り組んできた。教訓として、災害に強く、安心で安全なまちづくりを進めていく」と述べ祭壇に献花した。松井市長らは式後に、現場でも慰霊した。
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