2023.07.06
「心の傷、癒えることない」 5歳の息子と別れた父 西日本豪雨5年
災害関連死を含めて300人以上が犠牲になった西日本豪雨は6日で発生から5年の節目を迎え、甚大な被害を受けた広島県と岡山県の被災地で追悼式が開かれた。参列者らは犠牲者をしのび、祈りをささげた。
「一瞬で何もかも奪い去っていく自然災害の脅威を目の当たりにした」。広島市安芸区民文化センターであった追悼式には遺族ら約60人が出席し、長男の土井愛翔(まなと)ちゃん(当時5歳)を亡くした父淳司さん(36)が遺族代表で哀悼の言葉を述べた。
土井さんは当時、帰宅途中で、家にいた妻と愛翔ちゃん、次男の3人が土石流に巻き込まれた。あの日から5年。「道路や護岸などが整備され元の生活に戻りつつあるが、心に負った傷はどれだけ月日がたっても癒えることはない」と打ち明けた。
河川の堤防が決壊するなどし、広範囲に浸水して75人が亡くなった岡山県倉敷市の追悼式には遺族ら約210人が参列した。
母八代栄(やよえ)さん(当時85歳)を亡くした北九州市の会社員、三丸幸三さん(63)は、「母への感謝の気持ちと、助けてあげられなかったという無念の思い。それはずっと変わらない」とこの5年を振り返った。
豪雨災害の犠牲者は高齢者が多いことから、三丸さんは「災害弱者の人たちをいかに救うかを考え、サポートの仕組みを構築してほしい」と訴えた。【武市智菜実、平本泰章】
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