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2023.07.11

「早く見つかって」 佐賀・唐津の土砂崩れ現場、懸命の捜索

 九州北部を襲った記録的な大雨から一夜明けた11日、2人が安否不明となっている佐賀県唐津市の土砂崩れ現場では、警察や消防など200人態勢の懸命な捜索が続いた。高気圧に覆われて気温が上がり、真夏日が予想される中、広範囲で浸水被害が出た福岡県久留米市では、住民が家に流れ込んだ泥水や土砂をかき出す作業に追われた。

 毎日新聞の集計で、死者は1人増えて、福岡、佐賀両県で5人になった。佐賀、大分両県で3人が安否不明となっている。

 唐津市浜玉町で10日朝に発生した土砂崩れでは、2棟が巻き込まれて70代女性の死亡が確認され、同居する70代男性と娘婿の50代男性の安否が分かっていない。近くに住むミカン農家の田中紹雄(つぐお)さん(70)は、安否不明となっている50代男性と7日に酒を飲んだばかりといい、「友達も多く、お酒の場では歌を歌ったりする明るい人。今日は自衛隊も捜索に来ており、早く見つかってほしい」と祈った。

 筑後川の支流、巨瀬(こせ)川が氾濫し、広範囲が浸水した久留米市田主丸(たぬしまる)町では11日朝も泥水が引かない地域があった。市によると、市内の避難所では計407人が夜を明かした。田主丸町竹野の右田清剛さん(48)は自宅敷地内の畑に土砂が流れ込んだといい、「自宅に被害がなかったのは不幸中の幸いだが、土砂を早く取り除かないと車も動かせない。巨峰などを栽培している畑の収穫にも影響が出ないか心配だ」と話した。

 福岡県太宰府市では10日夜、冠水した市道のアンダーパスで男性が浮いているのが見つかり、その場で死亡が確認された。50代とみられ、県警が身元や大雨との関連を調べている。大雨で一時深さ約3・6メートルの水がたまり、市が10日早朝から通行止めにしていた。

 気象庁によると、11日は梅雨前線が対馬海峡付近に北上し雨はいったんおさまるが、前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込む影響で西日本から東日本では12日にかけて大気の状態が不安定になり、局地的に激しい雨が降る見込み。同庁は広い範囲で地盤が緩んでいるとして土砂災害などへの警戒を呼びかけている。【宗岡敬介、城島勇人】

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