2023.07.11
九州豪雨テーマの映画再上映 監督「被災地を思い起こして」 熊本
熊本を中心に災害関連死を含め81人の死者・行方不明者を出した2020年7月の九州豪雨から3年が経過したことを受け、氾濫した球磨川や被災した熊本県八代市坂本町などを舞台にした映画「あの子の夢を水に流して」の再上映が7日、熊本市中央区の映画館「Denkikan」であった。上映後にあったトークショーでは、遠山昇司監督(38)らが「自然の脅威」などをテーマに語った。
作品は、生後間もない息子を亡くした女性が幼なじみらと被災後の球磨川を歩き、人生を見つめる物語。映画には、被災地における堤防などが印象的な舞台として使われる。22年12月に公開された。
被災地には今も豪雨の爪痕が残る一方、災害の記憶が風化しつつある。このため、遠山監督が「被災地のこれからについて思い起こしてほしい」と再上映を希望し、実現した。
トークショーには、遠山監督と熊本大学くまもと水循環・減災研究教育センターの星野裕司教授(52)が登壇。「堤防やダムが、自然の脅威を感じられる目印になり得る」と遠山監督が話したのに対し、星野教授は「ダム、堤防を作ったから安全だという見方が一番危険。自然災害を100%防ぐことはできない」と応えた。
実家が八代市坂本町にあるという熊本市南区の谷岡和夫さん(68)は映画を見て「(今の坂本は)被災当時の爪痕は少しずつだが消えつつあると実感した。坂本でも上映してほしい」と話した。【中村園子】
関連記事