佐賀知事、土砂災害警戒区域への発信方法検討　唐津の現場視察

　10日早朝に大規模な土砂崩れが発生し、住宅2棟が倒壊した佐賀県唐津市浜玉町平原の土砂災害現場では、11日も消防や警察、自衛隊などによる行方不明の男性2人の捜索が続けられた。このうち79歳の男性は玉島川の河口付近で発見されたが、死亡が確認された。被災現場を視察した山口祥義知事は土砂災害警戒区域への発信方法を検討する考えを示した。

　11日は早朝から、新たに陸上自衛隊の約40人が加わって約200人態勢で捜索。男性2人の自宅前には今坂川があり、男性2人が流された可能性があるとみて、今坂川やさらに下流の玉島川まで捜索範囲を広げた。午前10時50分ごろ、県の防災ヘリが玉島川河口付近の上空から79歳の男性を発見。唐津署員がボートで引き上げたが、死亡が確認された。

　山口知事は視察現場で捜索状況などの説明を受け、連絡が取れない男性2人の家族とも面会した。視察後、「やはり感じるのは土砂災害に対する恐怖だ。避難のあり方も含めて土砂災害警戒区域の皆さんにどのようなメッセージを出していくか改めて考えていきたい」と述べた。

　一方、現場周辺の住民らは畑や庭に流入した土砂の撤去に追われた。土砂に埋まった畑を片付けていた女性（62）は「本当はすごくのどかな集落。今坂川もきれいな川で子どもの頃はよく泳いだ。あまりに変わってしまった地区の状況を見たら涙が出そうになった」と声を詰まらせた。

　まだ50代の男性は見つかっておらず、消防や県警などは12日も早朝から捜索を続ける予定。【五十嵐隆浩】