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2023.07.15

買い物弱者に痛手 「とうほう百貨店」が大雨で全壊 福岡・東峰

 九州北部を襲った先日の記録的大雨で、福岡県東峰村小石原鼓の交流施設「つづみの里」は土砂による被害を受け、その一角にある村民の貴重な買い物の場だった「とうほう百貨店」の建物が全壊した。買い物弱者の解消が課題の村にとって、大きな痛手となった。【桑原省爾】

 つづみの里は旧小石原村時代、廃校になった小学校校舎を活用して設けられた施設。農産物直売所や村特産の陶器を展示・販売するギャラリーなどが整備された。

 近年、村では高齢化と人口減少で個人商店の休廃業が相次ぎ、2017年の九州北部豪雨でJRが不通になるなど公共交通機関も不便で、食料品や日用品の購入が困難な村民が多かった。そこで村民ボランティア団体「東峰村元気プロジェクト」を中心に村社会福祉協議会、エフコープ、指定管理者の有限会社つづみの里が買い物支援プロジェクトの協議体をつくり、21年3月、別棟にある農産物直売所の一角にとうほう百貨店を開店した。

 百貨店はエフコープが供給する商品など常時約600種類を取り扱い、買い物難民問題の解決に寄与。「よりあい喫茶“わ”」も運営して村民の交流の場を創出し、プロジェクトは県の昨年度の「ふくおか共助社会づくり表彰」を受けた。

 ところが、この度の大雨で裏山が崩れ、土砂が押し寄せた。旧小学校校舎は流れ込んだ土砂を取り除けば再開は可能だが、とうほう百貨店が入る別棟の建物は大きく傾き、使用不能になった。

 つづみの里の役員、高橋弘展さん(39)は「残念だが、取り壊すしかない。ここは村の中心に位置し、駐車スペースもあって便利な場所。新たな業態も模索しながら、何とか再建したい」と話している。

ボランティアセンター開設 事前登録受け付け開始

 東峰村社会福祉協議会は、この度の記録的大雨の被災者を支援する災害ボランティアセンターを同村小石原鼓の「喜楽来(きらく)館」に開設し、ボランティア希望者の事前登録の受け付けを始めた。

 対象は原則として県内在住の18歳以上でボランティア活動保険に加入済みの人。屋内や敷地内の土砂のかき出し▽家具や室内の拭き掃除、泥落とし▽災害ゴミや泥の積み込み、運搬――などの活動に当たってもらう。

 村社協のホームページから事前登録をすることが必要で、日程や活動場所は被災者のニーズに合わせて調整する。問い合わせは村社協(0946・74・2012)。【桑原省爾】

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