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2023.07.16

佐賀・唐津、別の山でも土砂崩れ 県道寸断、神社の拝殿は倒壊

 住宅2棟が押し潰され3人が亡くなった佐賀県唐津市浜玉町平原の土砂災害では、近くの別の山でも10日に大規模な土砂崩れが起きていた。14日に現場に入ると、県道は寸断され「地域の心のよりどころ」(筒井高宏区長)だった神社の拝殿は倒壊し、無残な姿をさらしていた。今回の豪雨による被害報告はまだ増えており、県による全容把握にはなお時間がかかりそうだ。

 住宅2棟が倒壊した現場の南約400メートル。筒井区長(66)の案内で歩いて行くと、斜面が崩れ、渓流沿いに流れ出した土砂が県道を覆っていた。ミカン畑などが広い範囲で土砂に埋まり、下流の武雄神社拝殿は倒壊し、土砂で流れの変わった渓流の水が、神社内に流れ込んでいた。

 現場の今坂地区の筒井区長は「地域の心のよりどころ。早く再建してもらいたい」と話す。発生当日から現場近くの公民館に詰め、住民を代表して行政や行方不明者を捜索する警察や消防との連絡役を務めてきた。

 17日で発生から1週間を迎えるが、住宅2棟が倒壊した現場付近の道路も川に沿って側面がえぐれるなどしており、復旧のめどは立たない。

 筒井区長は13日に現場を視察した谷公一防災担当相に面会し、復興のめどは立たず、ライフラインを早く復旧してほしいと訴えたという。

 県庁で14日に開かれた九州北部豪雨災害復旧・復興推進チームの第2回会議では、全壊や浸水などの住宅被害が13日現在で計125件に上っていることが報告された。

 また、農林水産部の報告によると、農地や水路ののり面崩壊が約220件、林地や林道などの被害が約240件と、12日より件数が4倍に増えたという。台風シーズンを控え、県は被害の全容把握を急いでいる。【五十嵐隆浩】

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