ソーシャルアクションラボ

2023.07.18

のんさんが「のこり染」に挑戦 コーヒーかすでSDGs

本来なら捨てられるモノをデザインし直したりして再生する「アップサイクル」は、故ワンガリ・マータイさんが提唱し、毎日新聞が推進してきた「MOTTAINAI」キャンペーンの精神ともつながります。日ごろからいらなくなった洋服でアップサイクルを楽しんでいる俳優ののんさんに、ドリップ後のコーヒーの粉を使って白いシャツの「染め」にチャレンジしてもらいました。果たして仕上がりは――。【斎藤有香】 捨てるモノを使う「のこり染」 野菜や果物の皮、抽出したコーヒーの粉や茶葉……。のんさんが挑戦したのは、こうした一般的には捨てられる残り物で色をつける「のこり染」。講師役は「のこり染」と名付けた染色加工メーカーの墨勇志社長(61)が務めた。 染色の作業は水や高熱を大量に使うため二酸化炭素を多く排出する。「エコではない」と感じた墨さんは、15年ほど前から「のこり染」を続けており、今では、こしあん作りで残った小豆やワイン造りのブドウの皮などを染料に、在庫として倉庫に寝かされている生地を染めて衣料品にするアップサイクルブランドを運営している。 のんさんも、アーティストの古着を小物に作り替えるアップサイクルブランド「OUI OU(ウィ・ユー)」を昨年スタート。ただ、同じアップサイクルとはいえ、洋服を染めるのは初めて。墨さんから手ほどきを受けながら、染料のコーヒー粉を鍋にかけた。 染料は使用済みコーヒー粉 コーヒーの粉は、実際に喫茶店で使った後の「ネスカフェ」の粉。それを鍋で30分ほど煮出す間、「豆乳で白いシャツに絵を描いてほしいんです」と墨さん。 「野菜や果物、草花から取った染料は、豆乳のようにたんぱく質が多いものを使うほどよく染まる性質があり、描いた部分が浮かび上がる」(墨さん)からといい、のんさんは「豆乳で絵を描くの初めて……」と驚きつつも、半袖と長袖のシャツに筆を走らせた。 シャツも豆乳も色が似ていて絵はよく見えないが、「どんなふうになるのか楽しみです!」とドライヤーで絵の部分を乾かしてからシャツを鍋に入れ、漬物などの着色に使われるミョウバンを加えてさらに20分煮てから、シャツを干した。 ワニとリンゴがくっきり できあがりは2枚で差が出た。長袖のシャツはあまり染まらなかったが、半袖のシャツは薄茶色で、のんさんのキャラクター・ワニの「カリントウ」とリンゴが濃い茶色にきれいに浮かび上がった。 「こんなに違うんですね」と不思議そうなのんさんに、墨さんが「半袖のシャツは、ネスカフェコーヒーの使い終わった紙パッケージを糸にした特殊な布でできているからなんです」とタネ明かし。それから、「非常にきれいに染まっていると思います。ばっちりです!」と太鼓判を押した。のんさんは「うれしい! 初めてやってみたけど本当に楽しかったです! コーヒー以外でもいろんな素材で、お野菜でも挑戦してみたい」と喜んだ。 環境問題を勉強したい 初めて挑戦した「のこり染」について、のんさんは「子どもの頃おままごとをしていて、花を摘んで水に溶かすと色水ができたことを思い出しました」と懐かしそう。「天然の素材を使って、サステナブルな方法でできるのがすごくうれしかった。私は紅茶が好きでよく飲むので、紅茶でも(のこり染を)やってみたい」と話した。 また、「映画『さかなのこ』でさかなクンと対談したり、さかなクンの役を演じたりしたので、海のマイクロプラスチックの問題なども興味がある。もっと勉強して、自分に何ができるかを考えていきたい」と語った。 ◆のんさん(俳優、アーティスト) 1993年生まれ、兵庫県出身。2016年公開の劇場アニメ「この世界の片隅に」で主人公・すずの声を演じる。22年には自身が脚本、監督、主演の映画作品「Ribbon」公開。同年9月公開の映画「さかなのこ」では、第46回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。23年5月から自身のオリジナルキャラクター「三毛&カリントウ」グッズを展開。音楽活動では同年6月、2ndフルアルバム「PURSUE」発売。 三毛&カリントウ公式サイト(http://mikekali.jp) のん公式サイト(https://nondesu.jp

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