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2023.07.20

絶滅危惧種のシオマネキ、30年ぶり生息分布調査 徳島・吉野川河口

 環境省レッドリストで絶滅の危険が増大している「絶滅危惧Ⅱ類」に指定されているカニ「シオマネキ」が生息する吉野川河口の「住吉干潟」(徳島市)などで17、18の両日、約30年ぶりとなる生息分布調査があった。吉野川河口の汽水域には日本有数のシオマネキ群生地が広がるが、干潟環境の変化などで生息数が減ったという指摘もあり、目視による調査が実施された。

 調査を呼び掛けたのは、付近でシオマネキの観察会や干潟の清掃会などをしている市民団体「とくしま自然観察の会」。17日には中高生を含む約30人が参加し、1994~96年に調査した和田恵次・奈良女子大名誉教授(動物生態学)も駆けつけた。

 シオマネキは、雌のハサミは左右同じほどの大きさであるのに対し、雄は片方のハサミだけが異常に大きく発達しているのが特徴だ。参加者は和田名誉教授から雌と雄の見分け方のポイントなどを教わった。その後、潮が引いて現れた干潟の土手際やヨシ原へ向かった。シオマネキは人の気配を感じると巣穴へ逃げ込んだが、参加者が強い日差しの下、辛抱強く待つと1匹、2匹と巣穴から次々とはい出して歩き回り、雄が大きなハサミを上下にゆったりと動かしていた。

 和田名誉教授によると、今の時期、雌は産んだ卵を抱いて巣穴でじっとしていることが多く、地表に出てくるのは6割ぐらいという。和田名誉教授は「確認できた個体数に6分の10を掛けた数ぐらいはいると考えていい」と参加者に説明した。また、卵からかえった幼生のシオマネキは一度海に出た後、生まれた干潟に戻るとされる生態も紹介。「幼生は生まれたヨシ原の匂いを頼りに戻ってくるとされ、ヨシ原があることが大切だ」と干潟環境を維持することがシオマネキの保護につながると説いた。

 シオマネキは静岡県以西の本州や四国、九州・沖縄の汽水域に分布し、干潟のヨシ原などに巣穴を掘る。国内では干潟が減少した結果、まとまった個体数を観察できるのは、吉野川河口と九州・有明海沿岸などわずかとなっている。吉野川河口でも94~96年の調査後、人工島の埋め立てや四国横断自動車道など複数の架橋工事があり、環境が変化した。

 「とくしま自然観察の会」の井口利枝子世話人代表によると、住吉干潟など複数の生息域では、今後も継続して調査することを検討している。【植松晃一】

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