2023.07.20
米中、気候変動の協議継続合意 歩み寄り演出 首脳会談へ地ならしも
気候変動問題を協議するため中国を訪問していたケリー米大統領特使が19日、4日間の日程を終えた。ロイター通信によると、米中両国は気候変動問題に関する協議の継続で合意。11~12月にアラブ首長国連邦(UAE)で開催される国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)に向けて「今後数週間、集中的に取り組む」ことでも一致した。米中対立が激化する中、双方とも利害が一致しやすい気候変動分野での協調を示すことで、歩み寄りを印象付けた形だ。
中国は世界1位、米国は2位の温室効果ガス排出国だ。気候変動対策を最優先課題の一つに掲げるバイデン米政権が対策を進めるには中国の協力が不可欠となる。19日夜に記者会見したケリー氏は「長時間かつ詳細に協議した」としつつも「主要な問題について中国側と合意するには、さらなる作業が必要だ」と述べ、脱石炭やメタンの排出削減などで引き続き協議することを明らかにした。
ケリー氏はこの日、韓正国家副主席と会談。ロイター通信によると、ケリー氏は「我々は気候に関して変化をもたらす能力がある」と中国側に協力を呼びかけた。昨夏のペロシ米下院議長(当時)の訪台で中国側が協議を停止したことを念頭に「気候変動は世界共通の脅威であり、外交問題とは切り離すべきだ」と要請した。
国営新華社通信によると、韓氏は「互いの核心的な懸念を尊重し、十分な意思疎通をすることが基礎だ」とけん制しつつも「米国とともに地球規模の課題への対応で新たな貢献をしたい」と述べ、前向きな姿勢を示したという。
温室効果ガスの主要排出国である米中に対する国際社会の視線は厳しくなっている。今後は米中で「集中的に取り組む」とされる協議で具体的な成果が得られるかに注目が集まる。
一方、ケリー氏の訪中は、米中首脳会談の実現に向けた地ならしの意味合いもある。6月中旬にブリンケン国務長官、7月上旬にはイエレン財務長官が訪中するなど対話の動きが活発化している。米中両政府は9月のインドでの主要20カ国・地域(G20)首脳会議や11月の米国でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせ、バイデン大統領と習近平国家主席の対面での会談を調整しており、今回はその環境整備も図ったとみられる。
ケリー氏は16~19日の日程で訪中した。17日に気候変動問題担当の解振華特使と4時間余り会談したほか、18日には中国外交トップの王毅共産党政治局員、李強首相とそれぞれ会談した。【北京・岡崎英遠】
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