ソーシャルアクションラボ

2023.07.24

放置竹林 おいしく食べて、楽しくリメーク 神戸で挑む整備・資源化

 神戸市郊外の北区淡河(おうご)町で、有志が地域の竹を切り出し、メンマなどの「竹菜」や竹細工、肥料作りに活用する「淡河バンブープロジェクト」が進んでいる。目指すのは放置竹林の整備と竹の資源化。「おいしく楽しく」を合言葉に、ワークショップなどを地道に続け参加者の輪を広げている。

 梅雨のさなかの土曜日。夏祭りに向けた竹灯籠(とうろう)作りの呼びかけに区内外から10人ほどが集まった。地元の農家、北野孝二さん(62)の案内で竹林に入り、まずは必要な竹を伐採。北野さんは、手入れをされずにいると立ち枯れた竹が道に倒れてしまうなど危険が潜むと説明。この日は切った竹数本を軽トラックで地域活動の拠点「淡河宿本陣跡」の中庭に運び、60個の竹灯籠を作った。

 プロジェクトは2019年に発足。地元でまちおこし活動に携わる武野辰雄さん(49)、神戸・元町で食品店を営み「食」や「農」を通して淡河と関わってきた安藤美保さん(55)、竹を砕いた肥料で米作りを実践する北野さんらが中心メンバーだ。発足当時、放置竹林の整備・資源化に向けたメンマ作りは福岡県などで先例があり、武野さんらは「おもしろい。やってみよう」と踏み出した。

 タケノコよりは大きい幼竹を材料にメンマの試作を始め、北区在住の松田貞吾さん(70)が教える竹細工の会もスタート。参加型のイベントを重ねた。

 プロジェクトは現在、市のKOBEゼロカーボン支援補助金制度を利用。登録メンバーは50人近くに増えた。灘区の60代の女性は、自作の竹かごなどを暮らしに取り入れたいと発足当初から参加。芦屋市の50代の女性は近い将来、農地近くへの移住と就農を希望している。

 プラスチックの普及などで竹製品の多くが生活の場から消えて久しく、維持管理されないまま増大する竹林は全国的な課題だ。県内では淡路島でも市民らが里山の循環を願い地産のメンマ作りに取り組んでいる。淡河ではまだ量産は難しく、淡河宿本陣跡内のカフェなどで食材として使われている。武野さんらは「安定供給にはマンパワーが必要。そのためにも仲間づくりを大切にし、持続可能な資源である竹の可能性を広げたい」としている。

 活動はフェイスブック、インスタグラムで発信中。「淡河バンブープロジェクト」で検索。【木田智佳子】

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