ソーシャルアクションラボ

2023.07.25

秋田大雨、ボランティア活動本格化 高齢者は助け必要「平日も」

 秋田県で続いた大雨による被災者を支援するボランティア活動が本格化している。被害が大きかった秋田市などには県内外から多くの人が駆けつけ、家財の運び出しや清掃作業を手伝っている。秋田市社会福祉協議会は「被災者には1人暮らしの高齢者が少なくない。週末だけでなく、平日も多くの人に来てほしい」と呼びかけている。

 「ここに運びましょう」。大雨による太平川の氾濫で2メートル近く浸水した秋田市楢山南新町上丁の女性宅には20日午前から、数人の男女のボランティアが集まった。互いに声を掛け合いながら、泥水で水浸しになった衣類などを家の外に手際よく運び出していた。

 ボランティアの1人で、市内で中華料理店を営む中国吉林省出身の潘雪峰さん(50)は「店の休みの合間に駆けつけた。普段なかなか直接市民にお手伝いができないが、力だけはあるので役に立ちたい」と話していた。米国出身の男性2人も加わり「長年秋田に住み、お世話になってきた。再び大雨がくれば自分もボランティアに助けられるかもしれない。お互い様なので」と参加理由を語り、汗を流していた。

 浸水した住宅に住むのは80歳近い1人暮らしの女性。手に障害があり、家具などを自力で動かせなかった。大雨の時は次第に水かさが上がる中、2階に逃げてしのいでいたという。部屋の中は泥水が残り、水がしみこんだ木の強烈なにおいが残っていた。

 この女性を知る築山地区民生委員の鈴木夏代さん(74)によると、この地域の住民は相当の割合で被災したが、1人暮らしの高齢者が少なくない。多くの人の収入は年金が主で、家財を失ったことで居住をあきらめ、被災を機に施設へ移った人が何人もいるという。

 鈴木さんは「復旧までにどのくらい時間がかかるのか想像もつかない。ボランティアはこうした高齢者の家に優先的に来てくれている。本当に助かっている」と話す。各地の被災家屋から外に運び出された家具や衣類は、住民らの車で市内各地の公園などの置き場に搬出されている。

作業は「家主の了承を得て」

 ボランティアの服装としては長ズボンや長靴、長袖シャツ、マスクなどが望ましく、スコップなどの道具は地元の社会福祉協議会などで貸し出している。秋田市社協は「家財を動かし、整理する際は家主の了承を得ながら進めてほしい。家族が県外に住んでいて週末しか秋田に戻れない家もあり、手助けが必要な人はまだまだ多い」としている。

 ボランティアの問い合わせは秋田市社協(電話018・862・7445、午前9時から午後5時)、ホームページはhttps://www.akita-city-shakyo.jp/publics/index/279。五城目町や男鹿市、能代市、仙北市、上小阿仁村の各社協でも受け付けている。【工藤哲】

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