ソーシャルアクションラボ

2023.08.02

子どもの問題は、大人の問題? 公教育に、はじきだされた気分|せんさいなぼくは、小学生になれないの?㉕

㉕ 2022年5月18日

本日は、五味太郎さんの著書「大人問題」を読みながら、日本国憲法のこの条文の意味をかみしめた。

【日本国憲法 第 26 条】 1、 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する

2、すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

子どもたちには、教育を受ける権利がある。多様な人とのかかわりのなかで、子どもに育ってほしかった。だから、公立学校を選んだ。にもかかわらず、そこから我が子がはじきだされた。

公立学校は、いつからこんなに余裕を失い、競争的な環境になってしまったのだろうか。最後のひとりまでとりこぼさないことが、公教育の理念ではなかったか。

公教育のシステムから子どもがはじきだされると、親の時間・金銭的な負担でなんとかすることになる。間をつなぐ「制度」の支援がほとんどない。これだけ「インクルーシブな社会」が唱えられる時代なのに、入学したての子どもがそこから弾き出されるのだ。これって、「子ども」の問題なのだろうか?

「能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」 公立学校でそれが保障されない子どもたちがいる。むすこは、自らの意思で物事を選択することを好み、集団に合わせることをよしとしない。

むすこの特性を踏まえると、子どもの主体性を重んじるオルタナティブスクール(カリキュラムなしの民間学校)が妥当な選択肢の一つであったのだと、子どもが深刻な状態に陥って気づかされている。だが、オルタナティブスクールも近ごろは人気でなかなか入れないと聞く。

世の中に、どんな学校があるか探るよい機会ではある。明日は、インターナショナルスクールも覗いてみる。我が子の居場所は、日本にありや、なしや。

我が家の家族構成: むすこの父である筆者は現在、本づくりや取材執筆活動を行っている。取材や打ち合わせがなければ自宅で働き、料理以外の家事を主に担当。妻も教育関係者。基本的には9時~17時に近い働き方をしていて、職場に出勤することが多い。小1のむすこのほかに、保育園に通う3歳のむすこもいる。

【書き手】末沢寧史。異文化理解を主なテーマとする、ノンフィクションライター、絵本作家。出版社勤務を経て独立。絵本作品に「海峡のまちのハリル」(小林豊・絵、三輪舎)。出版社どく社を仲間と実験中。妻は教育関係者。本連載では、むすこの小学校入学直後に直面した行きしぶりと不登校をきっかけに、子どもという「異文化」について記します。