2023.08.05
台風が来たら空振りでも準備を ポイントは「生きるための必需品」
大型で強い台風6号が九州に接近する可能性があるなど早くも台風シーズンを迎えた。2017年9月の台風18号では水田を見に行った男性が亡くなるなど、大分県内でも大きな被害が出た。台風に備え、何に気を付けるべきか。県防災アドバイザーを務める防災士、木ノ下勝矢さん(74)=中津市下池永=にポイントを聞いた。
「生き続けるために何が必要か」考えよう
木ノ下さんはまず、台風が地震のような突発的な災害ではなく、「気象庁の発表で接近が分かる」と事前に備えられる特性に触れ、「自分の住む地域がどのような場所にあるのか、また行政の作ったハザードマップを確認してほしい」と呼び掛ける。
避難場所については、指定避難所だけでなく、安全な場所に立地する鉄筋コンクリート造のホテルを選択肢に加えることを勧める。「体育館などに避難したがらない人もいるので、ホテルであれば、レクリエーションみたいな感覚で避難できる」とメリットを説明。その際は「何も言わず避難すると行方不明者になる恐れがある」ので、自治会などに一声かけることが大切だ。
また、持病があり、薬の持参が必要な人は、長期避難に備えて「お薬手帳」もあると良いという。あらかじめ携帯電話で処方箋の写真を撮っておくのも役に立つ。「薬のほか、日ごろ使っている眼鏡や子供のおむつなど、『生き続けるために何が必要か』という観点で準備してほしい」と助言する。
暴風の影響で、屋外にあるものが飛んでいくことも考えられる。このため、物干し竿や物干し台、自転車などは事前に倒しておくことを勧める。また、飛来物で窓ガラスが割れてけがをすることもあるので、窓ガラスを新聞紙などで覆い、その上から養生テープを貼っておくとガラスの飛散が防げる。
建物への浸水を防ぐため、水が入りやすい場所に土のうを積むこともあるが、「土のうは一回しか使えず、作るのに重労働。止水板といって、何度も使えるパネルがホームセンターなどで売っている」と語る。
台風の接近は防災について考える「良い機会」だといい、「空振りになってもよいからしっかり準備することで、何が足りないのか明確になり、次の災害の備えにつなげることができる」と話した。【石井尚】
防災のポイント
(1)ハザードマップをまず確認
(2)ホテル避難もOK 周囲に一声を
(3)薬と眼鏡は「生きるための必要品」
(4)家を守る養生テープと止水板
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